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ITを導入したいと考えたとき

 2019.6.12 お役立ち情報 ブログ

経営とITのコンサルタントの山口透と申します。

このコラムでは、中小企業がIT導入を進めるときにどのようにすれば良いか、というポイントを3回に分けて解説していきます。

前回はIT導入のポイントは大きく考えてから進めると書きました。特に経営戦略を考えてから重要なものに対して、ITの導入を考えるという段階を踏むということが大切です。

前回のコラムはこちらから
中小企業のit導入ポイント

今回は、経営戦略を決め、ITの導入範囲を決めた後、どのように進めるかということをお伝えします。

目次

  1. ITを導入したいと考えたとき
  2. なぜITが導入できないか?
  3. 導入範囲を決めるため経営課題を明確にする
  4. いろいろやりたいときは業務で絞る

ITを導入したいと考えたとき

ITの導入を進めようとしたとき、どのような話になるでしょうか。
IT導入に関して、当社(株式会社エムティブレイン)への初回相談は以下のようなものがあります。

■財務関係

・売上や利益をリアルタイムで見たい
・製造業:月次決算でなく日次決算にしたい
・小売業:時間単位にリアルタイムで売上が見たい
・在庫がわからないので見える化したい
・在庫を削減したい

■顧客や販売、販促関係

・製造業:お客様の受注状況や受注金額を早く知りたい
・新商品や新サービスを作りたいので、お客様の声を聞いて分析したい
・インターネット店舗を始めたい、インターネット販売をしているが多店舗展開したい
・小売業やサービス業:LINE やインスタグラム、Youtubeなどを使った SNS を使ったプロモーションをやっていきたい

■受注、製造から出荷などの業務関係

・お客様都合で受注業務を EDI に変更したが、データを印刷して手入力している
・製品の製造する工程が多すぎる、また複雑なため工程管理ができていない
・受注生産でお客様から受注した製品がいつ出荷されるか分からない
・生産性向上と言われているが本当に生産性向上したかどうかわからない
・生産設備を入れた効果が分からない
・技術などの承継が必要だができていない

など様々な依頼があります。

一般的にはどうでしょうか。以下は中小企業白書に記載されている内容です。


出典:2016年中小企業白書

このように様々な分野での導入を進めたいという要望があります。

なぜITが導入できないか?

そこで IT や IoT などを使えばすぐにできるのではないかと言う考えがあります。もちろん自社に合う悩みに対して、ピッタリのパッケージが当てはまることもあります。しかし、ある程度検討して、「さてどうしよう」というところで止まっていることが多いと推察されます。

では、なぜ止まっているのでしょうか。


出典:2016年中小企業白書

上図は先程同様、中小企業白書に記載されている内容ですが、「ITを導入できる人材がいない」がトップです。続いて「導入効果がわからない」「コストが負担できない」となっています。

「ITを導入できる人材がいない」や「導入効果がわからない」という回答をする企業が多いのはなぜでしょうか。例えば、上記のやりたいことや問題点をシステム開発会社に話しをするとどうなるでしょうか。
「売上や利益をリアルタイムで見たい」という要望に対して、システム開発会社は、「売上データはどこにありますか? リアルタイムで入力されていますか?」と聞くことがあります。
「製造する製品の工程が多すぎる、また複雑なため工程管理ができていない」という問題に対して、工程管理ソフトを入れればいいのだと考え、工程管理ソフトの話を聞くと、「工程の開始と終了でバーコードを読めば良いです。」とシステム開発会社は話すでしょう
そして企業が、「うちは、複雑な工程になっているからなあ」というと、「工程のはじめと終わり、パターンで考えてください。その工程はどのような順になっていますか? 順序を定義してください。」などと、様々な条件を提示されてしまい、何ができるのかよくわからなくなり進めていく途中で挫折してしまうことが多いのです。

これは、システム開発会社の話す内容が「業務がある一定のパターンで運用されている」という想定を基に話をするためと考えています。つまり、業務が標準化されており、例外が少ないという前提で業務が運用されていると考えるからです。

企業側の要求が、「売上や利益をリアルタイムで見たい」や「工程管理ソフトを入れたい」などの具体的であればあるほど、システム開発会社としては上記のような例外が少なくなってからシステムを検討しているのだろうと考えてしまうことが多いようです。

導入範囲を決めるため経営課題を明確にする

では、どのように進めればよいでしょうか。「ITを導入できる人材がいない」という意見が多いのですが、自社のやりたいことはわかるはずです。まずは、ITでどの経営課題を解決するのかを明確にしなければなりません。
しかし混乱するのが、何をやりたいのかということと、どうやればできるのかということが混在して話し合いが行われるためなかなか前に進まないというのが実情でしょう
このためにも、経営課題の原因を構造化して真因特定し解決策の優先順位をつける必要があります

真因を特定する方法としては、古典的ですがなぜを5回ほど繰り返す「なぜなぜ分析」や「要因解析」などの方法が一般的です。真因を見つけるために、問題に対して原因はなにかということを深く掘り下げることが重要です。

なぜなぜ分析

「なぜなぜ分析」は真因を見つけて、その後解決策を考えます。しかしIT導入の場合は、真因がわかったとしても解決する手段が多く、取り組みたいことや考える切り口が多くなります。

このことから、考える切り口ごとに解決策を考えていくことが大切です。
例えば、
・ITシステムを導入して解決できる範囲
・人間の考え方や仕事の仕方を変える運用で対応出来る範囲
・組織体制を変えて解決する範囲
・投資や人員強化など経営全体に関わってくる範囲
など、経営上のどの部分で解決するかをそれぞれ考えていく必要があります。

例えば、財務の見える化であれば、売上や仕入、顧客情報などいくつかのデータを収集して経営状態がわかるようにします。ITで考えるべきことは、データベースの構築の他データを集約方法、分析手法や画面イメージを考える必要があります。このとき、これまで行っているデータ入力だけで済むならばよいのですが、「顧客への訪問履歴回数」「POSシステムのジャーナルデータ」「お客様の満足度」など新たなデータ入力が必要であれば、それは誰が行うかを考える必要があります。

顧客の視点の例では、お客様のアプローチを増やすために、情報発信の強化がよく検討されます。SNS の強化やホームページの充実などといったことです。
この場合同時に検討するべきことは、ホームページの作成は誰か、SNSの発信担当者は誰にするのか、またその時の情報を受け取ったあとのアプローチや情報蓄積はどうするのか、を検討する必要があります。これはITの解決や運用設定だけではなく、組織構築が必要なことがあります。

小型充填機を製造する企業の具体的な事例をお話しします。この企業は知名度がそれほど高くないため、ホームページからの問い合わせによる見込み客を増やすということを考えました。
この会社は完成品を作っている製造業です。自社の製品を見てもらうことが大切という思いがあり、動画による製品説明をホームページ載せると言うアイデアが浮かびました。

製品説明用の撮影はデザイン会社に任せることができますが、それだけではホームページからの問い合わせは増えません。
「ホームページを検索してくれるようなキーワードをどうするか」
「そのキーワードを一般的に広めるにはどうするか」
「見てほしい動画のページをダイレクトに検索してくれるか」
「検索してくれた後に問い合わせページへすぐにジャンプするようになっているか」
「また問い合わせてくれた後継続的にその見込み客と繋がっておくことができるか」
「そのためにメールやSNSを発信したりすることができるか」
など不安がたくさん出てきます。

これらを考え企画をし、ホームページを見てくれたあと、アクションを取ってもらうようなことを考えるということは、人が考えなければなりません 。

小型充填機というのは、お客様が新しい製品を作り、容器やパウチに自動的に充填したいと考えたときに必要になる製品です。これは、お客様起点ではじまるため、なにかきっかけがあればその悩みを解決するというアプローチが必要です。

例えば「そろそろイチゴの季節ですね。イチゴを絞って瓶に詰めてジュースにするには、充填機が必要ではないでしょうか」というメールを送るなど、自社製品の使い方を思い出してくれるようなアプローチをとります。そして、問い合わせをうけたあと、営業担当に回すと役割が必要です。

この事例企業の場合、上記のような担当者がいなかったのですが、マーケティンが必要だと提案した新入社員に任せました。この担当者は、自ら試行錯誤を繰り返しながら、問い合わせ数やメディア掲載数を増やしています。

この場合は、ITを使った解決策は見つかったが、そこに担当者が必要と考えたことがポイントです。①他の社員では時間が避けないと考えたこと、②この担当者がマーケティングは必要だと提案したこと、を受けて「Webマーケティング」というITによる解決策を、「組織的に任せた」ことが成功した要因です。

いろいろやりたいときは業務で絞る

上記はうまく進んだ例ですが、一つの解決策が見つかり始めると、「それならばこれもやりたい、あれもやりたい」という意見や出ることがあります。

新規顧客の拡大を考えると、インターネットを使っWeb マーケティングシステムも必要ですが、見込み客の管理や進捗管理も欲しくなります。受注後は販売状況やその後のフォローを記録した顧客管理システムということも必要です。またインターネットだけで完結しない場合、お客様のアプローチがどこまでできているか、提案ができているのか、見積もりが出せているのか、といったことを考えるために営業支援システムも必要になってきます。

このようにあれもやりたい、これもやりたいということが増えてくると、はじめに戻って、経営課題をどのように解決するかということを再認識してください。そのうえで、大切なことは業務で絞ることです。業務は、営業や受注などの業務を意識して業務を分析することが必要です。業務を分析するというと、業務部で受注を行っているので業務部の業務を分析すれば良いという考えがちですが、そうではなく、業務で絞って、またがった部門の業務を考えるという順序で考えてください。


出典:ITコーディネータケース研修テキスト

具体的な例を示します。受注から売上という業務であれば、受注業務は具体的にはどのように行っているかを考えます。受注であれば、営業部と考えがちですが、そうではありません。
営業担当が電話で受注を聞くかもしれませんが、営業担当は受注メモを書き、そのメモを見た営業サポートの事務担当者が受注伝票への転記や受注システムへ入力することもあります。
リピートの受注であれば、電話を受けるのは営業担当ではなく、社内にいる業務部の担当者で、受注伝票を書いたり受注システムやExcelシートに入力したりするのではないでしょうか。

このように受注という業務を考えただけでも、営業部ではなく業務をサポートしている業務担当者がいることがわかります。

販売や出荷の業務になると、納品伝票を印刷して出荷担当に渡し、出荷担当者が製品に納品伝票をつけて出荷するという業務を行っているでしょう。
そうなると、受注をして販売して出荷するだけでもこの業務に関わる部門は、営業部、業務部、出荷担当者を保有している部門にまたがります。

顧客管理システムを考えた場合でも同様です。
顧客管理と言えば営業の名刺を管理することから始まりますので、営業部だけで考えれば良いと思いがちです。しかし顧客管理システムはお客様の情報だけではなく、お客様へ何をいつ納品したかということも蓄積し、その商品の販売した後にどのようなサポートをしているかという保守サービスの状況も蓄積するべきなのです。
このように考えた場合、顧客管理システムでこの業務に関わる部門は、営業部以外に商品のサポート部門も必要になります。

つまりは、どのようなことをやりたいかということを考えるために、この業務はどの部門とどのように関係があるのか、情報のインプットとアウトプットに関わる部門はどこなのか、それによってどのような処理が行われてるのかということを解き明かす必要があります。

次回は、上記の業務の流れを整理することを書いていきます。


山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp
株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。
中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ


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