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5回目は販売と仕入業務の効率化です。

 2019.9.2 お役立ち情報 ブログ

今回は企業の基幹業務である、販売と仕入業務の効率化をお伝えします。

 

販売と仕入業務は企業活動の根幹です。企業によっては、この業務上で発生するデータを販売管理システムや、ERP(Enterprise Resorce Plannning)と呼ばれる統合ソフトウェアで管理しています。小規模企業であれば、お金のやりとりは会計システムで管理し、受注や売上、請求の管理はExcelで行っている企業があります。

会計システムは決算書を作成するために必要なので、税理士さんから紹介されたシステムを導入するケースが多いようです。

販売業務は、見積もり、受注、売上、請求、入金の流れがあり、売掛金を管理します。仕入業務は、発注、仕入、支払の流れがあり、買掛金を管理します。

 

これらは、販売管理システムの範疇です。
そして、このシステムは、複数の部門にわたって使うことが特徴的です。

 

例えば見積もりシステムは営業部や営業担当者が使います。受注入力は、営業担当者の他に営業部門から依頼された業務部門が入力します。売上入力も受注入力と同様ですが、入力頻度が高い多品種少量の製造業や、卸売業、小売業などは業務部門が入力します。

請求業務についてはお金のやり取りになるため、管理部門である経理部門が行う企業が多いようです。全体的に入力の作業量が増えてくると、「業務部」という部門で一括して入力作業を行う企業が多いようです。

 

 

図表:販売管理の流れ(製造業)

 

 

販売管理システム導入の目的

販売管理システムを導入する目的はいくつかあります。

 

1.伝票発行業務の効率化

 

まず伝票発行作業の低減による、業務の効率化が挙げられます。システムを導入することにより見積書や売上伝票、請求書といった伝票類の発行作業を軽減することができます。

 

売上作業や見積もり作業は、単純ではありません。また、中小企業の販売業務は、取引先が増えるほど複雑な業務になります。特に卸売業や小売業では得意先ごとに販売量が異なる場合、商品の単価が変わることがあります。得意先の要求や販売量、距離によって自社で運賃を負担したり、組み合わせ商品による値引きが発生することがあります。

このような、得意先別の単価変更は、販売管理システムを使い得意先マスターや得意先と商品の組み合わせマスターに登録することで、自動的に販売単価を変更できます。 

 

請求書を送付するときには自社の請求書で良いところもあれば、取引先の形式の請求書にしなければならない場合があります。取引先から商品を仕入れている場合は、相殺が発生し商品の明細書は送りますが、請求金額は取引先と調整して金額を確定することもあります。

これらも、得意先マスターに請求書の発行方法を登録することでその形式に合わせた請求書を発行できます。

 

2.管理業務の効率化

 

販売業務の中で、大切なのはお金の管理です。

まず、得意先から受注を得たあと、商品を販売して請求します。その後、請求金額が正しく回収されているかを管理する必要があります。

小売業では、商品を販売した後、得意先から現金で回収する場合は、回収管理を重視する必要はありません。しかし、製造業や卸売業などは、請求書を発行してから翌月や翌々月などに現金又は手形などで入金されます。このため、まず、金額が入金されているか、請求金額通りに入金されているかどうかを確認する必要があります。

さらにひとつの得意先で複数の商品を売り上げている場合、請求書通り入金されていたかの突き合わせ作業が必要です。特に自社の請求締切日のタイミングによる請求金額と、得意先の締切日による入金金額が違う場合があります。どの請求金額が入金されどの部分が入金されていないかということを把握して、入金されていないものを次回請求する必要があります。 

 

3.データの分析と活用

 

売上入力などデータを一元管理することで、情報を分析することができます。まず、得意先別、商品別、担当者別の受注金額や売上金額や粗利額、といった実績把握をおこない、この実績データを分析して、得意先ごとの月別の売上傾向、商品の売れ筋、死に筋の把握、などを行います。

 

特に月別の売上傾向を見ることで、得意先別であれば次にどのような商品を販売するかなどを考えて売上アップに貢献できます、さらに商品別に見ることで同じ商品を別の得意先に販売するといったことが考えられます。売上傾向のデータを目視で見て、考えるだけでも次に打つ手が見えてくるので時系列に並べたデータを分析するのは効果的です。 

 

図表:(例)月別売上傾向分析で売上のトレンドを知る

 

システム導入

上記の導入目的を達成するためにシステムを検討することになります。製品には販売管理パッケージや、ERP(Enterprise resource planning)と呼ばれる統合システムがあります。この他にクラウドサービスを利用することも選択肢の一つになります。

販売管理パッケージとしてよく知られてるものでは、弥生会計や奉行シリーズといった会計システムのシリーズの一つです。会計システムは、税理士の勧めによって導入することが多いようです。このため販売管理パッケージも、会計システム同じシリーズを導入する場合があります。

クラウドサービスは月額課金のため、初期投資を低く抑えるメリットがあります。また自社の業務に合うか、担当者が使いこなせるか、といった不安を取り除くために、数ヶ月試してみるという使い方ができます。

 

業種によって異なる

ここまでは企業全般に渡って、販売管理システムや販売管理の業務をまとめて記述しました。実際の導入におけるポイントや業務改善のポイントは業種によって異なります。(もちろん企業個々に異なります。)特に販売業務が明確にある製造業や流通業、サービス業であっても、業務のやり方や管理したいポイントが異なります。

以下にいくつかの業種の特徴と業務効率化のポイントを示します。

 

□製造業

まずは製造業です。製造業の場合は、販売業務のほか生産業務があります。製造業の販売業務の中でも「受注」という業務は、見込み生産と受注生産で大きく異なります。見込み生産の場合は需要予測に基づいて生産を行うため、受注と言う業務が基本的にありません。マーケティング部門や計画部門が生産個数を決め、決められた生産個数に基づいて、材料や部品を仕入れ、生産して出荷し売上します。一方受注生産の場合は、個別受注生産や複数の注文をまとめて行うロット生産などがあります。顧客の注文を受けてから材料や部品の在庫を確認し、仕入、生産して出荷し売上になります。

このことからもわかるように、製造業の業務の中では生産計画に基づいた生産管理業務が加わってきます。(こちらについてはまた別の機会で述べたいと思います)
製造業で生産業務を除いた販売業務に注目すると、管理したい項目は受注と出荷及び在庫管理です。

 

受注を受けて出荷までの間に、生産期間を含むため、この期間が長ければ長いほどお客様を待たせてしまいます。従ってこの期間がどの程度あるのかを管理し、受注時に得意先への連絡を行うことで、失注を防ぐことができます。またや生産中でも状況を報告することで、お客様満足度を高めることができます。

 

この受注から出荷までの期間で、どのような状態になっているか、製造工程上どこにあるかということを管理するのが、工程管理です。工程管理は生産管理の一部です。

販売管理パッケージを導入した製造業の場合、お客様へのフィードバックを早めるため、工程管理を重視する場合があります。しかしこのためだけに生産管理パッケージを導入するというのは、コストパフォーマンスが悪い場合があります。

したがって、工程管理だけを別の仕組みやシステム管理することから始めるのも良い方法です。生産工程を加工や組立、検査などといった工程に分け、それぞれの工程に入ったタイミングと工程から出たタイミングの日時を取得して管理します。状況を把握することで、お客様への報告が迅速にできます。また滞留期間を把握することで、効率化や業務改善を図る指標にもなります。

 

工程管理の場合は、マウンテンゴリラのプロマネを使って、小さく始めることをおすすめします。製造指図書にバーコードを印字し、工程に入ったタイミングや出たタイミングでバーコード読み込み、今現在どの工程にあるのかといったことを一元管理できます。

 

□流通業

次は流通業です。流通業の場合は、大きく小売業と卸売業、物流業などに分かれます。小売業は実店舗販売とインターネット販売のような無店舗販売があります。小売業は需要予測を立て、商品を仕入れて運搬し販売します。

特に小売業は、チラシやセールスよる来店客数や販売単価向上、商品点数の増加など売上拡大策を中心に考えます。このため販売管理システムは、売上動向をつかむ機能が重要です。

 

売上を管理するためにスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでは、POS システムが一般的に使われます。POS システムは商品マスターを格納したサーバー、POS レジとスキャナー、商品に印刷されたバーコードから構成されます。商品に印刷されたバーコードを読み取ると、単価が決定され、精算ボタンを押すなどをして売上が確定します。サーバーには、単価を決定する商品マスターがあります。この商品マスターで、セール期間中に単価を安くすることや、他店に合わせた単価変更が柔軟に行なえます。

 

最近では iPad などのタブレットとクラウドを使った簡単な POS レジシステムがあります。直近では消費税が10%に増税されることに伴い軽減税率制度が導入されます。この制度下では軽減税率対応商品とそうでない商品を区別して税率を計算する必要があります。このため、POS レジシステムの導入の促進が行われています。

図表:軽減税率対応POSレジ

 

業務の効率化においては POS レジの導入はもちろんのこと、そのデータをいかに活用できるかということが重要です。業務の効率化よりも付加価値の向上による売上の拡大や、お客様満足度を向上による売上アップにつなげていくということが大切です

 

この他に、小売業では見込み発注を行うため、発注の管理と入荷商品の検品作業も重要です。さらに商品がどこにどれだけあるかということを管理するため、棚管理を含めた在庫管理が大切です。

店の管理や在庫管理においても、バーコードとハンディターミナルを使った商品の入庫出庫管理を重点的に行うことで、コンピューター上に記録されている理論在庫と実際の在庫を合わせることができ、より正確な業務を行うことができます。 

 

□サービス業

サービス業の販売管理システムは、受注と売上や請求などの売掛の管理が中心になります。ただし現金売上をする場合は、管理項目は多くありません。また、仕入れ作業があまりいないため、在庫管理などもそれほど必要としません。

サービス業で最も管理が必要なのは、働く人の稼働時間です。これによりサービスの原価が決まり利益を確定します。

 

人の稼働時間を捕まえるのは、製造業の人の稼働率と同じような測定が必要です。これまで、サービス業では、多くの場合は、どの業務に何時間使ったかということを自ら申告して入力していました。

今後はスマートフォンや IoT を使い、誰がどこでどんな作業をしていたかということを自動的に取得する仕組みやシステムが生まれてきています。これらのデータはすべてクラウドに保存されるため販売管理システムや原価管理システムといったものに連携しやすくなっています。

 

システム連携が重要

図表:中心となるシステムへ周辺システムと連携する

 

製造業においても小売業においてもサービス業においても同じですが、基幹システムと言われる販売管理システムを導入することで、様々な業務を効率化ができます。これは、在庫管理や原価管理、人の稼働率の測定など、自社向けにカスタマイズが必要な周辺システムの効率化も重要です。

しかし一つのシステムやパッケージにあまり多くの機能を求めることは、中小企業においてはあまりお勧めしていません。小さいシステムをいくつか連携させる方がより良いと考えています。

これは中小企業での場合は取引先が多岐にわたり、取引先に合わせた業務のやり方またシステムへの反映方法などが必要となるからです。例えば先ほどの人の動きを知る稼働率測定システムは、 IoT など方法で別のシステムとして小さく作ることを進めています。小さく作りテストを重ねていく方がより正確に、簡単に取得できるようになるからです。また、業務や要求に合わせてシステムの更新が頻繁に起こると考えています。一方販売管理システムは会社の業務が大きく変わらない場合は変える必要がありません

 

このことから基幹システム以外の周辺業務のシステムは、小さく始めて連携を取ることを重視する柔軟な作り方をお勧めしています 

 

(参考文献:SEのための業務知識:克元亮 編、山口透 他著:日本能率協会マネジメントセンター)

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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