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消費税増税とキャッシュレス

 2019.6.28 お役立ち情報 ブログ

消費税増税どうなるの?

つい先日、新聞やニュースにも取りざたされていましたが、政府は6月11日の経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太の方針)」の原案に10月の消費税増税について明記しました。骨太の方針は、毎年6月に内閣府が公表する経済政策・財政政策の柱となる基本方針のことで、ここに10月の消費税増税が明記されたということは、三度の延期は行わないという政府の意思表示と受け取ることができ、いよいよ消費税10%が現実味を帯びてきました。

政府の施策

過去の消費税増税でも、増税前の駆け込み需要と増税後の買い控えといった消費者の購買行動が日本の経済に大きな影響を与えてきたことを考慮し、今回の増税ではこれを緩和するための経済政策が実施されることになっています。骨太の方針原案にはこうあります。

1.消費税率引上げへの対応
①駆け込み・反動減の平準化
キャッシュレス・消費者還元事業、プレミアム付商品券事業、耐久消費財(自動車・住宅)に係る税制・予算措置により、消費税率引上げ前後の需要変動を平準化し、消費を喚起・下支えする。

ここにあるキャッシュレス・消費者還元事業とは、どういった事業かを簡単に説明しますと、「消費税増税後、一般の消費者の方が現金でなくキャッシュレス決済で何かを購入してくれたら、政府はその消費者に購入額の5%をポイントで還元します」というキャンペーンです。
消費税は8%から10%に2%アップしますが、キャッシュレス決済を利用してくれたら5%ポイント還元で、実質増税前より3%もお得に買い物ができるということになります。このキャンペーンは2019年10月から翌年の6月まで9ヶ月間実施され、7月に開催される東京オリンピックまでの景気を下支えする狙いがあります。

ここであえて、決済方法をキャッシュレスに限定したのには、政府の別の目論見があります。少子高齢化社会に突入した我が国は、労働力の不足が深刻な問題となり、少ない労働力で成果を上げられるよう業務効率化や生産性の向上への取り組みが必要です。経済産業省は、これを打開するために積極的なIT活用を推進しており、近年のFinTechの盛り上がりを受けて、小売店でのレジ業務の効率化や無人化にキャッシュレス決済の導入を進めてほしいと考えています。
ちなみにFinTech(フィンテック)とは、

「金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。」※日本銀行HP 教えて!にちぎん「FinTech(フィンテック)とは何ですか?」より引用
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/kess/i25.htm

もう一つの狙いとして、政府は世界的にキャッシュレス決済の利用率が低いと言われている我が国のキャッシュレス利用率を世界水準まで引き上げ、増え続けている訪日外国人観光客がキャッシュレス決済でストレスなくお店での買い物を楽しめるインフラを東京オリンピックまでに構築したいと考えています。これに先立ち経済産業省は平成30年4月にキャッシュレス推進のための課題と今後の方向性についてまとめた「キャッシュレス・ビジョン」を公開し、2025年の大阪万博開催までにキャッシュレス決済比率40%を目標に取り組んでゆくことを宣言しました。

キャッシュレス決済

キャッシュレス決済と言えば、つい最近のできごとで思い浮かぶのが、PayPay(ペイペイ)やLINE Pay(ラインペイ)が2018年末から2019年初に行った20%キャッシュバックキャンペーンです。これは2019年10月の消費税増税とともに始まる5%ポイント還元事業の前哨戦と言われており、キャッシュレス決済事業者は消費税増税までにどれだけ加盟店数を増やせるかを競い合っています。PayPayやLINE Payはキャッシュレス決済の中でも比較的新しいQR決済という方法のサービスです。現代はスマートフォンが普及しており、一般の消費者がスマホのカメラからバーコードを読み取るのが容易になりました。QR決済はQRコードと言う2次元のバーコードをスマホで読み取り(スキャン)、決済を行う方法です。少し細かい話をするとQR決済の決済方法は、店舗側が顧客のスマホに表示されているQRコードを読み取るショップスキャン方式と顧客が店舗のQRを読み取るユーザースキャン方式の2つに分かれます。しかし現時点でショップスキャン方式はコンビニや家電量販店など一部の大手小売業に限られており、私たち中小企業や小規模事業者が利用するのはユーザースキャン方式ということになります。

では次に我が国で普及しているキャッシュレス決済には、QR決済以外にどんなものがあるかを見ていきます。何と言ってもキャッシュレス決済の横綱と言えば、クレジットカード決済を思い浮かべる人がほとんどだと思います。この他にもSuicaやICOCAといった交通系、WAONやnanacoの流通系に大別される電子マネー(おサイフケータイ)、金融機関のキャッシュレス決済であるデビットカードもキャッシュレス決済の仲間です。

あまり知られていないことですが、キャッシュレス決済を区別する際に重要なのは、決済が前払いか後払いかということです。電子マネーに多い現金をチャージする決済サービスは前払い(プリペイド)方式で、クレジットカードは後払い(ポストペイ)方式です。この他にもデビットカードのように前払いでも後払いでもなく、その場で即時に引き落とされる即時払い(ここではそう呼ぶことにします)のようなものもあります。ちなみに前払い方法には、これを可能にするための法律が存在します。前払い方式は「資金決済法」によって定められており、銀行以外の事業者(資金移動業者)が決済サービスを提供することを可能にしています。前払い方式は事前に現金をチャージするため与信は必要なく誰でも簡単にカードを作れますが、後払い方法はクレジットカード会社から短期間の借金をすることになり、個人の与信枠を決めるための審査を通過しないとカードを作れないという違いもあります。

またプリペイド/ポストペイの支払方法のほかにどのような仕組みで決済を行うかの決済方法(ここではそう呼ぶことにします)という観点があります。クレジットカードは、磁気ストライプカード読み取りによる決済と接触型ICチップ読み取りによる決済に分かれます。長らくクレジットカードの決済方法は、磁気ストライプカード読み取りでしたが、スキミング(カード情報を抜き取り、同じ情報を持つカードを複製して悪用する犯罪手口)が容易なことから、現在は接触型ICチップ読み取りに移行しつつあります。これに対し、電子マネーの決済方法は非接触型ICチップ読み取りです。これにはSONYが開発したFelicaというICチップを使用しており、Felicaは首都圏のラッシュ時の改札処理を前提としているため、非常に高速な処理を行います。
かつてガラケーに搭載されたおサイフケータイは、Felicaチップを搭載した携帯電話の総称で、電子マネーとして使用することができました。

キャッシュレス決済の種類と支払い方法、決済方法と決済サービスをまとめた表は次の通りで、これらの決済を総じてキャシュレス決済と呼んでいます。

キャッシュレス・ビジョンによると、我が国のキャッシュレス決済比率は、2008年の11.9%から2016年には20.0%へと推移しており、8年間で8%程度の上昇が認められていますが、我が国特有の治安の良さや紙幣に対する高い信頼、システムやインフラの発達により、現金を好む国民性が醸成され、結果として世界の水準からするとキャッシュレス決済の普及が進まない要因となっています。

また事業者の視点では、キャッシュレス決済を導入することによる決済端末導入コストや決済手数料、現金化までのタイムラグを問題とする声が多く、消費者の視点では、キャッシュレス決済を導入しない店舗の多さや現金以外での決済に対する不安があり、キャッシュレス決済を阻む阻害要因となっています。

これはかつて他国と比較して非常に高度に発達した日本の携帯電話が、スマホの台頭によりガラケーと呼ばれるようになった事例と共通点が多く、現金決済でも不便を感じさせない我が国の優れた特徴が、逆にキャッシュレス決済普及の阻害要因となりうる状況に政府は危機感を持っています。

しかしながら現在のキャッシュレス決済サービスを精緻に比較・検討してみますと、事業者の考える決済端末の導入コストは、キャッシュレス・消費者還元事業にて実質無料となっていますし、決済手数料は決済事業者の努力により3.25%台、現金化までのタイムラグもほぼ翌日入金といったサービスも存在します。近所の小売業事業者の方に「キャッシュレス決済導入しないのですか?」と尋ねてみると、「手数料が高いから」「現金化までのタイムラグが長いから」と言った理由を挙げられる方が多く、最近の新しいキャッシュレス決済サービスについて、よく理解していない事業者が多いように感じています。

政府の進める方針は、今後の我が国のキャッシュレス決済のビジョンを示すものですので、キャッシュレス決済をまだ導入していない事業者様は、これを機に導入を検討されてみても良いのでないでしょうか。


(著者略歴)
プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャーなどさまざまな立場で、製造・物流・決済などの開発に携わり、企業の基幹システムの開発に従事。ITコンサルタントとして独立後は、ネットショップのIT活用や業務効率化を支援している。中小企業診断士、高度情報処理技術者


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