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【第9回】今回は情報共有のポイントをお伝えします。

 2020.2.3 お役立ち情報

 

今回は、業務の効率化ではなく情報共有の方法やポイントです。

 

中小企業や大企業に関わらず従業員やパート社員、協力会社など業務に関わる人が増えるとその業務に関係する情報の共有が重要になってきます。昨今データや情報は、電話や FAX、メールやEDIなどのインターネットを使ったデータなど様々な形態でのやりとりが行われています。

 

これらの情報共有はExcelやWordで作成した資料を紙に印刷して配布する、ということでは済まなくなってきています。ビジネスの処理スピードが上がり、リアルタイムで情報を共有する必要性が高まっているのです。

 

大企業などであればグループウェアを使い情報共有するというのも一つの方法です。

中小企業の場合、グループウェアのような「ITツール」を導入することに「使いこなせるか」や「費用が発生する」なとの抵抗があります。これに対して、いくつかの簡易な方法をお示しします 。

 

「今日のおすすめ」

居酒屋さんなどに行くと、「今日のおすすめ」と書かれたボードがあります。これを見て来店客は、このボードから料理を選ぶこともあるでしょう。

これは、ボードを目につくところに置くことで、一番オススメしたい、つまり共有してほしい情報をよく見える位置に、よく見える方法で提供していることにポイントがあります。

出典:天満橋 和元 ホームページ

これによく似た方法で情報共有をした企業があります。この事例企業は、大阪が本社の約50名の製造業です。私はこの企業に経営戦略立案と業務改善のお手伝いをしています。企業は、毎週月曜日の朝に4名の取締役で会議を行い、経営課題や製販情報の共有をしていました。

 

最近受注が増えてきて、

・会議のときに、思いついた議題から話してしまい、会議の時間がなくなる

・議題が多すぎる

・会議が終わったあと、あげ忘れた議題を思い出す

・会議で決めたことを実行していない

という問題がありました。

 

週の半ばや問題が発生時点で緊急で取締役会を行えば良いのですが、取締役4名の時間が調整できずにうまく情報共有できない事がありました。

そこで、毎回の取締役会で、その日に何を決めるかということを明確にするために、「議題ボード」を作る改善提案を行いました。

 

居酒屋さんの「今日のおすすめ」のように「今日の取締役会で決めること」というボードを作るのです。

 

このボードの使い方は、

・取締役会が終了後、毎日思いついたり、発生した問題を書き連ねます

・会議を始める前に、その日の議題上位3つを赤枠で囲みます

・次に、できれば入れたい議題上位3つを青枠で囲みます

・これで会議を進めます

・議題が解決したらそれを消します

 

この時の注意点は、議題が赤枠の内容から逸れるようであれば、互いに注意してはじめの議題に戻すことです。

 

こうすることで、

・思いついた議題ではなく、重要議題に集中することができ、

・また時間以内に会議が終了する

ようになりました

 

これらは、

・タスクを洗い出す

・優先順位を決める

という会議の基本的な進め方のポイントです。

 

これを、

・「おすすめボード」という親近感のあるタスク表にした

・赤と青という視覚的にわかりやすい優先順位にした

というところがポイントです。

 

このおすすめボードを使うことで今情報共有ができました。

 

遠隔地との情報共有

半年ほどこの方法で情報共有を進めていたのですが、少し様子が変わってきました。

それは取締役の一人である営業取締役が、本社の東京の取引先が増えてきたため、時間の大半を東京の営業所で過ごすことが多くなってきました。

 

取締役会のために月曜日に大阪に戻るのは効率が悪いため、東京の営業所から Skype などのインターネット会議で取締役会を行っていました。

 

こうなると物理的なおすすめボードのようなものはうまく運用できません。

当初は会議終了後に作成した議事録をメールで送っていました。しかし議事録を作成する手間があることや、送り忘れ、議事録の作成そのものを忘れたりすることがありました。また議事録作成の時間差が出てくるため、翌週までにやらねばならない作業を忘れてしまうことがありました。

 

そこでインターネットにあるクラウドの情報共有サービスを使うことを考えました。

 

情報共有なのでグループウェアなどを考えましたが、それほど多くの情報を共有するわけではありません。毎週議題に挙げて決めた内容を実行していくということだけです。このことからGoogle ドキュメントというマイクロソフト Wordに似たツールを使うことにしました。

 

毎回履歴を残して、翌週の会議のときに前回の内容をコピーして使うので「前回との差がはっきりする」という効果があります。

また「残り続けていく課題」が明確になり、何週間も残り続けている課題に対してどのようにアクションするかということも議論のポイントになりました。

 

さらに、Google ドキュメントはクラウドで使えるため、お互いが同時にそのドキュメントを離れている場所で同時に書き込んだり修正したりすることができます。

Google ドキュメントの例

 

手書きのおすすめボードとは違いキーボード入力になりますが、 議論をしているのとあまり変わらないイメージで情報共有ができます。

 

これにより、大阪と東京という離れた場所でもスムーズに取締役会の情報共有や、情報共有した後のタスクを実行する忘備録も兼ねることができました。

ここまでは、これまで行ってきた会議の延長であり、概ねスムーズに導入できました。

 

情報共有のしかたによる社員教育

またこの企業はこの情報共有をさらに進めることにしました。取締役会だけではなくこの議題で決まったことや議論の一部をコピーして、次期取締役メンバーである営業部長と製造部長にも共有しました。さらにその部分は、30インチほどのパソコンディスプレイに常時表示して、従業員も見ることができるようにしました。これにより、取締役と現場のリーダークラスが同じ情報を共有したうえで、従業員全員で毎週PDCAを回すことができるようになりました。

 

取締役と現場の意思疎通がうまく循環し始めたのです。

 

さらに、取締役の伝えたいことをパソコンディスプレイに表示してあるので、次期取締役メンバーが従業員に対して説明することになります。これにより次期取締役メンバーが経営的な視点を持ってもらうことができました。つまり人を育てることにも役立つようになったのです。

 

情報というのは情報共有するだけではなく、その情報を共有して実行して改善していくためのツールです。これが取締役とその時期取締役のメンバーとも共有できたことが良い効果を生み出しました。

 

イメージの共有

この企業ではさらに情報共有の仕方を進めていました。Google ドキュメントを使った情報共有は、ホワイトボードとは違い、手書きのイメージがないという点が不満でした。つまりホワイトボードを共有できないことが悩みでした。

いくつかのツールを試しましたが、Google ドキュメントを使っていることからGoogle のツールで良いものが出てきました。

 

それが、Google Jamboardです。

まっしろなページにマウスやタッチパッドで絵や文字を手書きで書くことができます。パソコンの画面でもタブレットでもスマートフォンでもできることが驚きです。さらにこの画面が、Google ドキュメントと同様に、ほぼ同時でインターネット経由で共有できます。 

Google Jamboardの例

 

つまり場所を問わず、Skypeのようなインターネット会議であっても、同じホワイトボードを見ながら会議ができるのです。

 

これによりホワイトボード向かって書くようなイメージで、タブレットパソコンに手書きで書き込み、大阪本社と東京営業所がリアルタイムに画面のホワイトボードを共有するようなイメージで会議をすることができます。

 

ただし、Google Jamboardの使い方は工夫をしました。Google Jamboardは議論の説明で「絵」が必要になる時や、スピードを要求される場面に使うようにして、議事録や次回以降のタスクなどはドキュメントの方に書き込むことにしました。これは、文字にすることで検索を容易にすることが目的でした。 

 

この企業では、会議の打ち合わせの内容が空中戦で行われていたものが、ホワイトボードで地上戦に持ち込むことができ、「会議のときに、思いついた議題から話すため、会議の時間がなくなる」という事がなくなりました。また、Google ドキュメントや Google Jamboardで遠隔地とのリアルタイムな共有ができるようになったことで時間と場所を超えた情報共有ができました。

 

表示イメージをわかりやすくする

Google のツールを使うことでうまくいった例は他にもあります。

 

別の企業では同じような50名ほどの従業員がいる規模の製造業でした。前述の企業とは違い、工場と本社を合わせて3拠点に分かれています。拠点には拠点長や工場長がいるので、重要な社長の通達事項は工場長などを通じて行われていました。

 

しかし「年末調整書類の案内」「健康診断を受ける」など事務連絡事項などは、通達が遅れたり、忘れられることがありました。

この他、ヒヤリハットや仕事上の良いやり方など、全社員が共有したいものが時々ありますが、これまでは印刷した書類をホワイトボードに貼り付けるという運用をしていました。

 

この方法でも良いのですが、毎日同じような状況ですと徐々にマンネリ化してしまいます。この場合、ITを使った解決策のセオリーは、グループウェアで情報共有をするというものです。

 

しかし、従業員の多くは製造現場にいるので、パソコンを使う機会が少なく「グループウェアなどを使った情報共有」はうまくいきません。もう少し簡単に通達や連絡を中心とした情報共有の仕組みがないかを考えました。

 

そこでGoogleのカレンダーを使い、日めくりカレンダーのような使い方を提示しました。

具体的には、Google カレンダーにその日までにやることを入力しておきます。表示形式は一週間のスケジュールが見えるようにします。

Google カレンダーの例

 

古くなったパソコンと、数万円で買える30インチ程度の大きなディスプレイを使い、生産計画を書き込むホワイトボードの横に置きました。

 

これで、

「日々の生産計画はホワイトボード」

「緊急ではないが、期日が決まっている通達や連絡や情報共有はディスプレイ」

が情報共有されるようになりました。

 

Googleカレンダーには、本社で一括して入力します。工場側はgoogle カレンダーの「今週」を表示するだけですので操作も簡単です。

Google カレンダーは、表示形式がカレンダーなので、親しみやすいようです。

 

前述で示したおすすめボードやこのホワイトボードに共通する点は、よく見える場所に大きな表示板があることです。

またカレンダー 形式であれば、今まで紙で使っていた様式と同様に見ることができるというのは安心感があり無意識に情報を取り込むことができます。

 

ちなみにプロマネは、今までの帳票と似たイメージで、情報を共有できるところがポイントです。

 

その瞬間必要な情報

情報には、上記のような議事録のような固定的な情報と、その瞬間に発生した事象を早く広く拡散する場面があります。後者の情報を共有する方法には、メールやLINE などのメッセージを送り合う方法があります。

 

コミュニケーションツールによっては、スレッドと言われるタイトルに対して関連する情報を連鎖することで、何の情報を共有しているかということをはっきりさせることができます。例えば営業と製造であれば受注番号というスレッドを立てて、その受注番号に関連する製品の生産進捗状況や、お客様から求められている注意事項などを共有できます。

 

導入時の注意点

導入時の注意点としては、このようなツールは部門や個人で導入するのではなく、全社共通のツールを使うことをお勧めします。なぜなら、同じツールを使うことで情報共有の仕方が統一されるというメリットがあるうえ、そのツールを見ることで誰が何に困っているかということをつかむことができるからです。 

 

またどのツールにも共通しますが、検索キーワードをできるだけ統一することや、「タグ」と言われる検索キーの作り方を統一するのは、検索しやすさにつながります。

 

情報共有が進んでいくと情報量が増え、欲しい情報が埋もれてしまうことになります。そうなったとしても、検索がうまくいけばそれほどストレスはありません。このため検索キーワードをできるだけ統一することが望ましいのです。

 

具体的には、社内の呼び方で「製品番号」というのか「製番」というのか、「受注番号」か「注文番号」「注番」など言葉を統一することや、商品に「正式名称」を使うのか「略称」や「通称」などの名称の統一が必要です。

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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【第8回】今回はIoTを使った効率化の少し深く解説します。

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