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【第8回】今回はIoTを使った効率化の少し深く解説します。

 2019.12.3 お役立ち情報 ブログ

前回、IoTの話を少し書きました。今回は、ここを少し深く解説します。

 

IoTは(Internet Of Things)と呼ばれ、温度や湿度、機械や人の動きなどをセンサーで取得し、インターネットを介してクラウドにデータを集め、分析し活用することです。

 

前回、製造を「インプット」と「処理」と「アウトプット」という一般的なシステムの考え方で表してみました。同様にIoTをこの考え方で表すと以下の図ようになります。

まず「インプット」の視点から考えると、インプットが自動的にできるという特徴があります。つまりセンサーを使って状態の変化や温度の変化、動きなどを取得することが自動的にできるのです。

 

また「アウトプット」の視点から考えると、2つの観点があります。一つはシステムから何かが出力され、今の状況が見えます

 

例えば、以下のような見える化IoTがあります。

  • NC旋盤やマシニングセンターのパトライトの色から取得した、設備の稼働状況
  • 消耗品の交換状況や修理状況
  • 主軸やモーターなどから読みだした、設備の加工のスピード 

 

もう一つは、このアウトプットを進めた観点です。表示されたデータを人が分析し、機械の制御や動作を行わせるという、次の処理のためのインプット情報になります。

 

例えば

  • 遠隔地の加工設備や空調設備などの調整
  • 材料や資材の投入といった操作

などができるようになります。

 

IoTの構成

 

私は IoT の構成要素を、人や物、センサー、 制御装置、通信、プラットフォーム、分析や活用、と分けて考えています。以下でこれらを少しずつ解説します。

「モノやコト」はデータを取得する対象です。どこかで動作している「モノ」(機械など)や何か状態が変化している「コト」です。

 

モノは動作したときに、その動作の状態が変化するということを捕まえることができます。例えば上から下に落ちてきた、右から左に動かしたなどの動作や、何かの物体に圧力がかかったか接触したかなどです。

 

「コト」(状態)の変化は、温度や気温、気圧や匂い、光や音、接触や通過などの、「何かが起こった」ということです。 IoT は Internet of Thing と呼ばれているので 、以前は「Things」つまり何かの「モノ」を示すことが多かったのですが、昨今はこの「コト」も含めて IoT と呼んでいます。 

 

IoT を活用しようとする皆さんは、IoT の仕組みを理解するよりも「モノやコト」の状態の変化に重点をおいて考えて欲しいです。

 

なぜなら、後に書くセンサーやネットワークなどといったことは、IoTの技術者が考えれば良いことです。しかし皆さんが取得したい「モノやコト」は、皆さんしか分かりません。このため、この状態の変化を意識することが一番重要です。

 

「センサー」は、アナログ情報を取得する機械です。「モノやコト」の状態の変化を考えることができれば、どのようなセンサーが必要かわかります。

 

センサーは大きく分けてアナログ信号を取得するセンサーと、デジタル処理をするセンサーがあります。アナログ信号のセンサーは、温度や湿度、光や音、圧力や接触などがあります。デジタル処理をするセンサーは、加速度や磁気、画像や距離や、GPS などがあります。 

 

IoT を利用しようとする皆さんは、どのような原理でセンサーが働くかと言ったことをあまり深く知る必要はありません。今の世の中でどのような状況がセンサーで取得できるか、ということを意識すると良いと考えます。簡単な例では、エアコンは温度のセンサーを持ち、部屋の温度を一定に保つことができます。自動ドアは、前に立ったり足で踏んだり手で触ったりすることで、扉を開けることができます。スマートフォンは、傾けると画面が表示され、縦から横を変えることで表示が変わることを経験されているでしょう。このように生活の中でどのようなセンサーがあるかということをイメージすると IoT の活用に役立ちます。 

 

生活の中でイメージしやすいものだけではなく、酵素や抗原などの化学物質を検出するセンサーがあります。これらを活用して医療分野や水質などの分野の他、味やにおいなどのセンサーに活用されています。 

 

「制御装置」は、センサーで取得したアナログデータをデジタルデータに変換する装置です。またセンサーのデータをインターネットにつなげるための位置づけもあります。

シングルボードコンピューターという特定用途の端末として開発された、比較的小型のコンピューターを指すことが多いようです。具体的には Arduino という小さいマイクロコントローラーを搭載したコンピューターや Raspberry Pi という教育用に開発された安価で小型のコンピューターがあります。 

この他、少し大きな制御装置としては、PLC と呼ばれる電源の信号をインターネットに送るデバイスもあります。

 

「通信」は、インターネットにつなげるというためのネットワーク回線です。NTTやSoftBankといった携帯電話会社やソラコムなどの専用の会社などが提供しています。

 

「プラットフォーム」は、センサーデータを格納する場所と考えてください。大きく分けて考えると、自社内にデータを格納する場合とクラウドに格納する場合に分けられます。

クラウドであれば、アマゾンWebサービス(AWS)やマイクロソフトAzureなどのクラウド業者が代表的な場所です。またコストを抑えるのであれば、中小企業が運営するクラウドサービスも活用できます。

 

「活用」は、導入目的です。生産性向上や機械制御、機械故障の予知などが代表的です。

「分析」は、「活用」のためにセンサーから送られてくるデータを、どのような角度で分析し活用するかです。プラットフォームによっては予め分析ツールが準備されている場合があります。

 

IoT活用の方向性

 

IoT活用の方向性は、生産状況の見える化新サービスの提供です。

 

中小企業白書では労働生産性を分子と分母に分けて、この2つの方向性を示しています。分母の改善は労働投入量の効率化や省力化、分子の変革は企業活動の付加価値拡大を実現する方法です。

改善の方法としては、IoTを活用して生産状況を見える化し、効率的な人と設備の活用を行い、人材不足の状況において短期間で導入効果を得られる利点があると考えられます。

分子の変革は、IoTなどを使った新商品や新サービスによる高付加価値化です。効果が出るまで時間がかかりますが、分母の改善である効率化や省力化の2倍の効果が得られるとされています。

すべての企業が付加価値の向上の方向に行くのが良いでしょうが、すぐには取りかかれないので、まずは生産状況の見える化による効率化に務めることが大切です。

 

IoT活用の事例

 

生産状況の見える化で私が関わった事例をご紹介します。

IoT の導入で簡単な事例は、NC旋盤やマシニングセンターなどの設備からデータを取得する方法です。新しい設備であればLANケーブルを挿すだけで、その設備が「加工しているのか」「停止しているのか」「機械のメンテナンス中なのか」といった情報が取得できます。これにより何時から何時まで加工していたかということが数値として取得できます。このデータと日報を突き合わせ、どのお客様の何の製品にどの程度時間がかかっていたかということが把握できます。

 

A社では新しい設備は、特定のお客様向の加工に使っていることが多い状況でした。そこでこの特定のお客様向けの加工時間を測定して、どのぐらいの時間で加工しているかということを把握するようにしました。

 

実はこの特定のお客様の受注単価が徐々に下がってきていたのですが、現場の作業員はそれを知らずに加工していました。作業員は以前と同じように段取りの時間を取り、以前と同じ品質で作業をしていました。この加工時間を測定することで、お得意先様だということで丁寧に加工していることがわかったのですが、少し過剰品質になる工程をたどっていることが判明しました。

そこでお客様と交渉して、仕様と品質の再確認を行い、最適な加工品質と段取りを取ることで、作業時間を短縮でき、かつ適度な価格でお客様に提示することができたのです。

またLANの接続ができない設備については、パトライトの赤か青かなどの信号の色により稼働しているか停止しているかを取得しました。これで同様の分析をしてその製品に対する稼働時間と受注した金額の適正化を検証してお客様との交渉に役立てるようにしました。 

 

他に古い設備にセンサーを取り付けたB社の事例があります。

B社は布を等間隔に切断する切断機を持っていました。

この設備が古いため、切断回数やスピードなどが把握できず、原材料である布の交換タイミングがわからず、作業者が目視で布の交換タイミングを確認していました。

 

そこで、この切断機に光センサーを取り付け、切断する刃の上下運動により光を遮る回数を把握することにしました。これがうまく稼働し、切断機の切断回数を把握することができました。また、原材料である布減り具合も、光の明るさで布がどこまで減ったかを分かるようになりました。

 

この取り組みは光の当たり具合などを試行錯誤して決める必要があります。B 社では従業員の改善活動の一つとしてこの取り組みを進め、試行錯誤を従業員が行うことでノウハウと改善し続けると言う仕組みを作ることができました。

 

次に、新サービスの提供について私が関わった事例をご紹介します。

ここで紹介する新サービスは、コピー機とトナーの関係のように、摩耗や時間により部品が消耗する製品を作っている製造業でできたサービスです。

少しだけ具体的に言うと、モーターで水や粉を移動させる設備です。このとき、ホースやフィルターが少しずつ消耗したり汚れがついていきます。このため定期的にホースやフィルターを交換する必要がありました。

利用者は適当な自分の都合でフィルターの交換を、この企業や販売代理店に依頼していました。

水や粉を使うと書きましたが、ジュースなど飲料を移動させる設備も販売しているため、年間で考えると夏季の使用頻度が多く冬季は少なくなります。

 

このためホースやフィルターなどの消耗品の交換は、夏前が最も頻繁に行われます。

企業側からすると消耗品交換は、年間を通して一定である方が交換要員の稼働率が安定します。これらのことから消耗品の交換時期を企業側で知り、「そろそろ交換時期ですよ」という案内を送りたいという要望がありました。

 

この要望を受けて、IoTの観点から考え、ホースやフィルターが消耗したことをセンサーで感知し、インターネット経由でフィルター交換時期を予知するサービスを開発しました。

 

PoC(実証実験)をすすめる

 

事例企業のように自社で進めることができた背景には、IoTの検証にはPoCという概念があるためです。PoCはProof of Concept(概念実証)と呼ばれ、IoTのサービス提供に於いてアイデアの実証を目的とした、試作開発の検証ツールが様々なメーカーから出ています。

 

例えば、部屋の温度や湿度を遠隔で監視し異常値があった場合にメールやSNSに連絡が届く、温度・湿度監視IoTシステムは10万円程度で利用できます。プログラムやインターネットの設定など不要で、置けば使えるものがでてきており、比較的容易に実証実験ができます。PoCの概念を持った検証ツールを使うことで、製造業では温度を一定に保つ必要のある部品加工、食品加工の毎日の温度管理、サービス業であれば介護や見守り、農業ではビニールハウスの温度管理など様々な場所での生産性向上のための取り組みが始まっています。

 

今回はIoTを使った生産性の効率化を示しました。中小企業でも取り組みの成果が出てきているので、ぜひ取り掛かってください。

 

<参考>

大阪府の場合は、以下のURLを参考にしてください。

(事例には、Mountain Gorilla社 も掲載されています)

 

<参考文献>

初めての生産管理:山口透 楠田貴康 著

IoTの教科書:伊本 貴士 著

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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