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【第7回】生産管理の一部である工程管理の効率化

 2019.10.29 お役立ち情報 ブログ

 

今回は、製造業における生産管理のシステム化で効率化できる部分を書いていきます。

 

「生産管理」をどの範囲まで捉えるかということによりますが、ここでは設計、調達、製造、という狭義の生産管理に焦点を当てます。更に今回はこの内でも「製造」絞って書いています。

 

では、製造を「インプット」と「処理」と「アウトプット」という一般的なシステムの考え方で表してみます。

まず、「アウトプット」の視点から考えると分かりやすいと思います。

これは、システムから何が出力されるかという視点です。

 

例えば、以下のような見える化があります。

  • 人の動きや機械の動き
  • 生産の進捗状況
  • 人の動線
  • 機械や工程の混雑状況
  • 設備保守や点検状況
  • 消耗品の交換状況や修理状況
  • 計画と実績の差異
  • 在庫や発注点の状況

 

これらの見える化は、生産効率が上がったことを誰もが把握できる効果があるため、システム化という観点では取り組みやすい項目です。

 

「処理」の視点では、システム化によりどれだけ作業を速くするかということが効率化のポイントです。

最も簡単な例は処理の自動化です。手作業で行っていたものを NC 旋盤やマシニングセンターで機械化すると同じように 、CAD で書いた設計図面を使い、データに変換して、CAMとしてプログラムをマシニングセンターに流し込むということは製造業ではよく行われています。

 

昨今注目しているのは「インプット」の自動化です。インプットはこれまではバーコードの読み取りや RFIDの接触により、人の動作を伴った上で情報を読み込ませていました。これで、今どのような状態になっているかということを分かるようにしてきました。

 

最近は、 IoT などのセンサーを使って状態の変化や温度の変化、動きなどを取得するということが行われています。

 

以下で、生産現場でどのように使われるかということを解説していきます。

 

なぜ見える化が必要なのか

 

なぜ見える化をするかということですが、見える化は「現地・現物・現認」という三現主義にもとづきます。現地で現物を見えるようにして、改善策を考え、次の行動につなげる必要があります。何も見えない状態で暗中模索をするのではなく、見て判断して行動するという「改善」のために行います。

 

製造現場では、ムリ・ムダ・ムラが日々発生します。全く何も見えない状態では、このムリ・ムダ・ムラが大きくなり、利益を減少させることになります。

 

また、紙や手書きの情報で見える化を始めたとしても、氷山の一角のように一部しか見えず、水面下にある真因や深刻な状態を見えるようにしなければなりません。そのためにも見える化し、改善し続ける必要があります。 

 

人の動きや機械の動き

 

機械の稼働状況を見える化するのは、比較的新しい機械設備であれば簡単にできます。

例えばマシニングセンターにはLANケーブルを接続するポートが有り、そこに市販のLANケーブルを差し込でデータを取得することができます。データはその機械が現在どのような状態になっているかということを抜き出すことができます。

 

電源のオンオフや扉の開け閉め、どのようなプログラムを動かしているか、現在加工工程にあるのか研磨工程にあるか、どのような加工しているのかを始め、それらの開始時間から終了時間まで取得することができます。

 

出展:オークマ株式会社

 

抜き出したデータを活用して、機械の稼働率を把握することができます。稼働率は上げれば良いということだけではなく、想定している稼働率に対して上回っているか下回っているかということを見える化することが大切です。

 

想定の稼働率より下回っている場合は、原因を調査し作業段取の見直しや、作業者の配置の再検討などにより稼働率を上げなければなりません。

 

逆に想定している稼働率より高くなった場合は、良いことではありますが、機械が足りないという状態かもしれません。この場合は、思い切って同等設備の導入や価格を抑えた廉価版の設備導入を検討する材料になります。

 

また、稼働率だけでなく作業の内訳を分析し、想定通りの加工時間や手順で加工できているかということを捕まえることができます。

 

このように新しい設備であれ比較的データが取れますが、少し古い機械の場合は、LANポートがなく簡単に取得することはできません。しかし、パトライトの赤・青・黄信号の読み取りや、電源の ON OFF を読み取るということは、センサーによりデータとして取得できるようになってきました。

 

一方機械の稼働状況に比べて取得しにくいのが人の動きです。

現在、段取り中なのか作業中なのかということを自動的に取得するのは、機械のように簡単にはいきません。

 

しかし、最近はAI技術を活用して、ウェブカメラで人の動きを録画し、画像解析による解析が行われています。人の集中度合いや作業の動きを解析してどのような常態か把握するここ読みが行われています。今のところ中小企業では、いくつかの事例が出始めたところです。

 

進捗状況を知る具体的な方法

 

工程上の進捗を知るためによく行われている方法は、作業指示書を活用した方法です。作業指示書にバーコードを貼り付け、加工品と一緒に各工程に回していきます。

 

各工程の作業現場では作業開始と作業終了時にバーコード読み取り、開始時間と終了時刻を蓄積します。

 

製造の進捗状況を把握するのは非常に大切です。これは社内の工程だけでなく、外注へ作業を依頼している場合にも有効です。外注へ依頼したときに、社内工程と同様に加工品がどこにあるかということを把握できるようにします。

 

これを実現するには、外注加工作業を依頼するときに作業指示書のバーコードを読ませ、作業指示書と加工品を外注へ配布します。また外注先から加工品が戻ってきた時にバーコードを読ませ、各品がどこにあるかということを記録し蓄積します。

 

これにより、現物が今どこにあるのか、社内にあるのか、外注にあるのか、戻ってきているのかということを見える化できます。

 

このデータを蓄積して、外注加工に依頼し想定期間内に上がっているかなど、納期に間に合わせてくれる外注者のリストを作成することができます。さらに納入予定日の数日前にリマインダーとして自動的にメールを発信させ、予定通り上がってくるかということをあらかじめ聞くということも可能です。

 

 

進捗状況を管理するポイント

 

製品を作る上では、工程上のモノの流れと情報の流れを管理する必要があります。

 

理想的には、モノと情報が同時に流れる状態を作ります。

 

工程を細かく分解して、工程の完了ごとに作業が完了したという情報が流れるようにし、製品の加工が途中であれば途中であるということは分かるようにするのが理想です。

 

しかしこれを細かくしすぎると人の作業が増えてしまいます。モノの加工作業は時間を使っても良いのですが、情報を入力するという時間は、不用意なものであれば、「ムダ」な作業になってしまいます。このためどの情報を蓄積するとかという選択は重要です。

 

経営戦略から生産上の重要な情報は指標化(KPI:Key Perfomance indicator)して、全社で必要な情報を見える化するために入力することを目指してください。

 

最近はIotを構成するセンサを使い、自動的な情報の入力の仕方が注目されています。容易に大量の情報を収集するために、センサーを活用することを意識してください。

 

またこれらのデータ入力は、実績を中心に蓄積することを意味しています。

 

ただ実績を入力するだけでは、どこをどのように改善するべきかということがわかりません。

計画に対してどのように進捗しているかと言う「計画と実績の乖離」を把握して改善する意識が必要です。

 

製造業であれば標準時間や標準原価との差異を分析すると行動は、システム導入以前から行われています。これを見える化の際にも重視します。

 

進捗状況の見せ方

上記の内容では、マシニングセンターなどを使った加工系の製造業のイメージが大きいと思われますが、この工程管理は組み立て系の製造業でも適用するべきです。

 

例えば部品製造を外注で行い、自社は組立作業が中心となる装置業のような製造業があります。

このような組み立て系の製造業の場合、設計は自社で行い、発注リードタイムを考慮した上で部品を外注に発注し、納入された部品を組立して製造をする工程になります。

 

部品点数が少ない場合は良いのですが、数十点の部品から構成されるような場合は、部品の納品状況により自社の組み立てタイミングが決まります。正確に納品されることが基本ですが、どうしても遅れが発生する場合があります。この場合先に組み立てることができる自社工程があれば、製造を先にすすめることができるため、部品の納品管理は確実に行う必要があります。

 

こう考えると部品の納品以外に、製造中の仕掛品がどこまで出来上がっているかという管理をすることは、組み立て系の製造業については、納入状態を知るための作業の手間を減らせる他、最適なタイミングで納入させることができ、製造全体では効率化が図られると考えます。

 

この各工程の進捗状況の見せ方としては、40インチほどのディスプレイを使い、作業者が見える位置に設置したり、工程全体を管理する生産管理部のような部署に設置するのが効果的です。

 

これまでも製造業ではホワイトボードを使って、進捗状況の表示や各工程の作業タイミングなどを紙で張り出しています。

 

作業現場で誰がどこまで進んでいるかという状況を把握することで、自分の作業のうち先にすすめるべきことを考えることができるからです。

 

また生産管理部のような管理者のところに表示することで問題がある工程があればすぐに対応することができます。

 

さらにこの情報を営業と共有することで、お客様に対して進捗状況を説明でき、新たな受注をする際に無理な納期で交渉しないようにするということに役立ちます。

 

進捗管理を中心とした工程管理は、プロマネでも作成可能です。

ただし、プロマネは導入が容易なため、やりたいことを多く詰め込むことがあるかもしれません。しかし、あまり複雑なことをしないように、工程が終了した時に実績を入力するというシステムから初めて、開始実績や他の工程などはあとから追加するなど、少しずつ大きくする導入をおすすめします。

 

データの分析

 

実績データが入力できると、分析ができます。

 

例えば滞留時間分析はリードタイム短縮や納期遅れの解決に有効です。

 

図表:滞留時間分析表

製造実績を加算して、製造全体のリードタイムと各工程での滞留時間を確認します。

 

製造リードタイムのばらつきがある場合や滞留時間が異常に長くなっているなどでは何か問題が発生していると考えられます。

また製造指図書指示通りに製造をしていない可能性があります。

 

例えば、装置の複数台持ちであれば段取り作業が大きくなる可能性は否定できません。これにより、本来の時間でできるはずができなくなり、次工程が加工待ちになるという事象が発生します。

 

このような悪い兆候が現れていないかを把握し、問題は何かということを発見するには良い方法です。

 

特に、納期遅れが発生していない状況であれば、売上に大きな影響が無く、全社的には大きな問題にならないことがあります。製造側で無理やりその注文に合わせて作業を優先させ、なんとなく忙しかったという事象で終わってしまいます。

 

これが慢性化すると他の製品のリードタイムが長くなってしまい、全体的には生産効率を下げてしまう恐れがあります。 

 

 

今回は工程管理を書きました。工程管理というのは「情報のインプットとアウトプット」と「モノのインプットとアウトプット」を管理するので、システム化と導入しやすく効果が高い部分です。

 

さらに分析に活用することで、改善につなげることができるので是非取り組んでいただくことを勧めます。

 

(参考文献:初めての生産管理、山口透 楠田貴康 著)

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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