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【第20回】今回は導入方法の話です

 2020.12.28 お役立ち情報 ブログ

 

これまでは、様々なツールやシステム、その良い点や悪い点、

またメリットやデメリットをお伝えしてきました。

 

今回は、このようなシステムをどのように導入していけばよいか、

また導入する時の問題点はどのように対応していけばよいかを書いていきます。

 

進め方の基本

 

大規模なシステムや基幹系システムなどを導入するときは、

以下のような手順進めていくことが多いようです。

  • 現状分析
  • 経営の方向性の確認
  • ITの方向性の確認
  • 問題点や課題点の抽出
  • 予算と体制の検討
  • システムの機能の分析
  • 導入範囲の決定
  • パッケージベンダーの比較検討
  • 導入後の想定
  • システムのテストや移行
  • 本番導入

 

では、他に方法はあるでしょうか。アジャイル開発やリーンスタートアップなどという

言葉を聞くことがあります。

クラウドを活用して業務改善を行う場合は、アジャイル開発やリーンスタートアップなど、

小さく始めて大きく育てていく方法を取ることが多くなってきました。

 

この場合でも考え方は同じです。

「小さく始めて大きく育てていく」ためには、「大きく考えて、小さく始め、

大きく育てていく」という進め方を推奨しています。

 

「大きく考えて」は、「経営の方向性の確認、ITの方向性の確認、

問題点や課題点の抽出」にあたります。

 

小さく始めたいから、部門やある一部の機能だけを効率化すれば良いという

進め方は好ましくありません。

 

まず、「経営の方向性の確認、ITの方向性の確認」を確認しないと、

導入するつもりのシステムが、「そんなことに時間やコストを掛けるべきではない」という

判断が下されることになります。

 

トップダウン、ボトムアップの進め方

「大きく考えて、小さく始め、大きく育てていく」という進め方をするときによく聞かれるのが、

トップダウンで進めるのが良いか、ボトムアップで進めるのが良いのかということです。

 

社長の一言で進めるトップダウン方式は、導入までの推進力はありますが、

現場の抵抗があったり、現場の納得感が無いまま使うため、システム導入の効果が

出なかったりします。

 

一方、現場の改善を最優先に考えるボトムアップ方式の場合は、現場主導で

進めるため使い勝手を優先してしまい経営的な効果が出ていないものが

出来上がる可能性があります。

 

ではどちらが良いでしょうか。

これに対する答えは曖昧になってしまいますが、答えは「どちらも」です。

 

現状分析、問題点や課題の抽出は大切なのですが、会社の方向性や進めていく方向などは、

社長の思いを汲み取る必要があります。

特に経営の方向性は、外部環境の変化によって左右されます。

仕組みやシステムは、これらに迅速に追従しなければなりません。

 

トップダウンで考える視点を、具体的なケースで紹介します。

製造業で BtoB の部品を製造している企業です。

 

この企業が BtoB 事業不振や新規事業立ち上げとして、BtoC事業を立ち上げました。

 

この場合、製造工程を考えると部品を作るだけでなく、最終製品に完成品として

組み立てる工程が必要です。

さらに組み立てた後、消費者目線で検査を行います。

また最終的に消費者に届けるために梱包作業が必要になります。

 

こう考えると製品を製造した後の組み立てという新たな工程が増え、

そのための準備や検査といった工程やチェックポイントが増えます。

 

またそのために人という経営資源が必要になります。

販売面を考えると BtoB に販売していた商品を BtoC に販売するわけですから、

顧客とのやり取りが企業相手でなく個人が増えてきます。

 

さらに、BtoCの商品を気に入ってくれた企業が OEM の開発に結びつくことがあります。

 

このように新しい戦略を考えると、様々な経営資源が必要になり、

それらを管理したり、その業務の効率化を図るためにシステムが必要になります。

 

他方ボトムアップの導入方法での視点を説明します。

 

例えば、受注や発注を FAX で受け取り、それを見ながら業務担当者が

手入力でシステムに受注入力を行なっている場合です。

 

この場合、業務効率化をあげようとすると、 AI OCR 使って FAX を読み取り、

RPA を使って基幹システムに入力し、手入力の自動化という手段があります。

 

もちろん AI-OCRやRPAに投資が必要です。しかし、手入力が削減でき、

効率化を図ることができ、生産性が向上すると考えることができます。

ただしこの場合は、部分最適になってします可能性があります。

 

このようにボトムアップの考え方の場合、手元の業務や目先の困っていることを

解決する手段を探してくることが多いのです。

 

では、部分最適に対して、全体最適で考えるというのはどういうことでしょうか。

これは、視点を広く持つということです。

 

受注伝票をFAXで受け取ると言っても、手書き伝票ではなく印刷されている

場合が多いでしょう。

これならば、何かのシステムから出力されていると考えるべきです。

 

こう考えると取引先は、受注データをシステムに入力しているはずです。

となれば、FAXの代わりにFAXに記載されているデータを受け取り、

受注入力の代わりにするということが考えられます。

 

これらは EDI という考え方です。 FAX の代わりにデータを受け取り、

それをシステムに流し込むということができるのです。

EDIの場合は機械的に読み取る OCR とは違い、お客様がデータを入力するので

自社で間違いが発生することはありません。

 

当然お客様とのやり取りが発生するので、お客様への依頼は必要ですが、

大きな視点を持って考えると、全く違う方法に行き当たることができます。

 

IT化の障壁が低くなっている

どちらの方法であっても経営者は、コストは抑えたいというのが望みだと思います。

まだ現場の方は、現状のやり方を大きく変えたくないというのが望みでしょう。

 

しかしシステムの導入は、何かを変えなければなりません。

 

これまではシステムを導入する時には、何かを変えるという痛みが伴いました。

しかし今は、スマートフォンや IC カードが身近にあり、ITが日常生活の中で使われています。

このため、これらを使うと、状況を変えやすいと感じています。

 

例えば、製造業で進捗管理を行うためには、作業の開始と終了を入力するシステムが必要です。

古くは、この場合、作業開始と終了時には、それぞれのボタンを押す必要がありました。

今はバーコードが普及しており、作業開始や終了のバーコードを読み取ると言う方法で

ボタンの代わりにすることができます。

 

バーコードが普及していない時は手入力が必要でした。

またバーコードでの入力も身近でなければ、「知らない」ため

「バーコード読み取り機」を使うということに抵抗があったでしょう。

 

しかし今、バーコード読むというのは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで

日常茶飯時に見られます。

 

さらにスーパーマーケットであれば、セルフレジがあり多くの人が自分でバーコードを

読むということも体験しています。

 

バーコードから発展させて考えると、バーコードでなく RFID を使った進捗管理も同様です。

材料や部品の搬送箱や材料そのものにRFIDを取り付け、そのRFIDを読み取ることで

作業の開始や終了を検知することができます。

 

これらも体感的には電車の改札口を通過するときの IC カードタッチに似ています。

このような体験があることを踏まえて、作業の中の一つとしてカードをタッチするという

動作を加えてもらうことが、電車の改札口を通過するときと同じです、という言い方で

導入の障壁が下がります。

 

POCの考え方

上記で「大きく考えて小さく始める」ということがポイントであると書きました。

 

小さく始めるときのキーワードとしては POC があります。

 POC( proof of Concept) は技術やアイデアなどが実現可能かを確認するため、

実験的に使ってみることです。

物理や化学の実験ではなく、考えたことを試すために簡単なシステムを構築して

実際に使ってみて検証を行います。

 

POC メリットは、いくつかあります。

 

一つは、IT システムの導入をする時には、トップダウンで考えた要求事項を具体的に確認できます。

 

例えば、経営戦略上で売上を拡大のために、低単価の商品を数多く売るという方向性が

あるとします。その時には今まで行っていた伝票処理などの業務用が増えると想定されます。

この業務量に対して、POCで今回のシステムが対応できるかということを確認するのです。 

 

もう一つのメリットは現場の方や利用者に合致したシステムかどうかを確認できることです。

 

実際に使ってみるため、業務に合うのかどうかということをその場で確認し判断できます。 

 

ただし注意点は、確認と判断の方法です。

POCは、現場の方が使えないという判断をするためのものではなく、使うには

どうしたらいいかということを、導入推進者と現場担当者が一緒に考えることが大切です。

 

この他にPOCのメリットは、システムと運用を再検証できることです。

システムには運用の変化が伴います。そのシステム以外の周辺のシステムとの

データのやり取りや、やり取りをするためのデータの加工作業などが必要になってきます。

これらを調査して確認することができます。

 

また非機能要件と呼ばれる検討もできます。システムを導入するときに

必要になってくるネットワークの強化などのインフラ環境の整備、

情報漏えい対応を考えたセキュリティ対策です。

 

例えばスマートフォンを使ったデータの入力を行うということを考えるのであれば、

そのスマートフォンを落としてしまった時にはどうするか、ログインパスワードなどが

漏れ内容にするにはどうしたらよいかなどを考えることができます。

 

どのような手順であっても、システム導入のためには、「大きく考えて、

小さく始め、大きく育てていく」という進め方を推奨します。

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ。

 

 

 

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