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【第19回】進捗管理の仕組みとシステム化の話です

 2020.10.30 お役立ち情報 ブログ

 

今回は進捗管理の話です。

 

製造業でシステム化の中で、最も多いご要望が生産状況の進捗管理(納期管理という言い方もします)です。

 

進捗管理は「仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動。進度管理又は納期管理ともいう。」とJISに定義されています。

 

進捗管理は何時までにその仕事を終了するかであり、期限を守れるかどうかを管理します。

もしお客様と決めた納期を守れないと、会社の信用が落ちてしまいますので大変重要な管理なのです。

 

納期を守るために生産の計画に対して日々その状況を把握し、改善と対応を取ります。

 

いくつかの工程がある場合は、その工程が終了したかどうか、計画と実績の差異を比較します。

 

管理対象は、人、設備、材料です

 

管理する対象は、人( Man)、設備( Machine)、材料( material)です。これらをまず初めに対象とします。

 

誰が何の仕事を進めているのか、どの機械が何の作業中なのか、どの材料が投入されたか、材料は適切なタイミングで入荷しているかなどを把握します。

 

私が訪問している中小企業は、大量生産ではなく小ロット生産や一品一様の部品を製造している企業が多いです。

 

小ロットや受注ごとに製造しているような企業は、お客さまの納期に間に合わせるということや、特急の割り込みに対応するということが求められます。そうなると人( Man)、設備( Machine)、材料( material)他に受注した製品や部品の受注番号ごとの管理が求められています。

 

進捗管理の進め方:1  アウトプットを決める

 

進捗管理をITシステムではなく手動で行う場合は、製造指示伝票を使い予定と実績を把握する場合があります。製造指図書には予定が記載され、それが出来上がると、実績数や金額を書き込むと言う方法です。

 

ここでは進捗管理をシステム化するには何をどのように考えるかを示します。

 

まず初めに考えることは、どのようなアウトプットをするかです。どのようなアウトプットの項目が必要で、どのような切り口でカテゴリー分けをして、どのような絞り込みを行うかということを考えます。

 

アウトプットのイメージがついた後は、次に誰のための情報かを検討します。誰が何のために使うかを検討するとそのアウトプットは必要なのか、他とまとめることができるかが明確になります。

 

もちろん、さまざまな関係者が、多くの情報を見たいと思います。例えば一つの工程だけではなく全ての工程を見ることがわかれば、作業監督者は仕事がやりやすいでしょう。しかしあれもこれも見たいと考えて多くの情報を見ようとすると、混乱が生じてしまいます。

 

進捗管理の進め方:2  インプットを決める

 

アウトプットをするためにはインプットが必要です。このインプットは作業負荷を増やす可能性がありますので、本当に必要かどうかということを吟味しなければなりません。

 

例えば製品加工業で、工程が「粗加工」「仕上げ加工」「研磨」「検査」と言う順で流れるラインの場合を考えます。この場合、どの工程でどんな状況になっているかというのを掴みたいと考えるでしょう。多くの方は全ての工程での開始時刻と終了時刻を知りたいと考えます。

 

しかし、全ての工程で、全ての開始と終了時刻を知りたいのであれば、全ての工程での、開始時刻と終了時刻を入力しなければなりません。

 

これには、時刻の入力という作業や処理が必要となります。

 

特に機械とITシステムが連動していないのであれば、入力という作業が増えます。

 

これまでITシステムを使って進捗管理を行なったことがないのであれば、全ての工程でどこまで進んでいるかという情報を取得する必要があるかを、よく検討が必要です。

 

インプットの方法は手入力から考えましょう。手間はかかりますが柔軟に対応できます。これができるとなったら、バーコードなど入力する機械を使って入力の簡素化を考えます。

 

また、IoTなどの考え方を使い、センサーによる自動入力があります。これは、どんなセンサーがあって、どんなデータが取得できるかということのイメージも必要です。

 

 

進捗管理の進め方:3  工程を決める

 

全ての工程でなく、最初の工程と検査終了後の最終工程だけ取得するなどがあります。

検査も全品検査でなく、抜き取り検査であれば、検査を行うが工程の管理は不要でもよいでしょう。

 

どこまでの進捗管理をするかというポイントは、工程の中でボトルネックはどこかです。

ボトルネック工程の前で、どれだけの製造の滞留があるかということを把握することで、今後の出荷予測ができます。

 

ただし、中小企業の場合は一品一様の製品を作ることが多いでしょう。

ロット数は最小であれば1の場合があり得ます。平均では5のような個数を作るような企業は大変多くあります。

 

この場合、工程の途中のボトルネックは日々変わります。また製品によっても変わります。

 

この時は、ボトルネックとはいえ時間の経過や、製造する種類を終了させるとボトルネックが解消されるのであれば、あまり強固に把握する必要はありません。

 

日々変わるボトルネックを追いかけるのではなく、ある特定の工程や部分だけ進捗状況を把握して、問題がないかという仮説検証をするということで進めても良いでしょう。

 

(出展:ローカルベンチマークから抜粋)

 

原因分析に活用する

 

進捗管理をする目的の一つは納期管理ですが、これ以外にデータを収集して原因分析にも使うことができます。

 

原因分析には、いくつかの切り口を活用します。

切り口の代表的な項目は、人( Man)、設備( Machine)、材料( material)、方法(Method)です。

 

人を切り口に考えた場合を例に取ります。同じ人が、ある加工の時だけ時間がかかり進捗が遅れるという状況が把握できた場合はどうでしょうか。これはその人がその加工に対して何か技術的な要件が足りないということが想定できます。

ということは、この加工の技術力を上げる研修や OJT を行うことで生産性が向上するでしょう。

 

その人だけに注目した場合、時間によって停滞することが分かれば、何か体調的な問題があるかもしれないという仮説を立てることができます。極端な例ですと、休憩の時間が長いや休憩後の立ち上がりに時間を使ってしまう、などを見つけることができます。

 

設備を切り口に考えた場合、設備と原材料の組み合わせによっては、相性の問題で加工時間が長くなり、進捗が遅くなるということも確認できるかもしれません。

 

先日お伺いした工場では、ある設備が古く、ある時間帯によっては進捗が悪いということがありました。これはどうやら機械の劣化が要因ということがわかりました。

 

このように、問題発生時の原因分析が大切ですので、その切り口を何にするかで、原因分析のスピードや真因の把握のスピードが変わってきます。

 

分析によって出てきた仮説に対して検証を繰り返すことが重要です。

 

検証をするための改善するための手法は、各種講習会に参加する方法があります。また技術力を高めるということであれば、自社独自の手法の他に一般的な手法を学ぶということも大切です。

またこの力が身に着いたかどうかを判断するために、技術検定試験を受けるという取り組みも効果的です。

 

仕掛品の管理を行う

 

進捗管理は仕掛品の管理にも繋がります。

仕掛品の管理の目的としては滞留状態の管理をする他に、受注から出荷までのリードタイムを短縮することも挙げられます。

 

仕掛品は、原材料を投入してから製品出荷として売り上げ上がるまでお金に変わっていない資産です。

 

資産と言うと何か得したものを持ってるような気になりますが、企業として最も大切である現金に変わっていません。

 

原材料へのお金の支払いや製品を作っている途中の外注費の支払い、従業員の給与、水道や電気などの光熱費などの経費を考えると製品が出来上がるまで、つまり仕掛品の状態ではお金が出ていくばかりです。

 

経営の観点から考えると、資産はできるだけ早くお金に変えたいのです。

 

特急品の管理を行う

 

また中小企業であれば、特急品や割り込み品などが多く、何がどこまで進んでいるかということが把握しにくい状況があります。

 

特急品対応を急ぐばかりに、もともと長期間で納期に余裕がある製品が、いつのまにか納期ギリギリになってしまう状態も発生します。

 

この場合は、受注番号で受注ごとに納期を設定し、どの順序で製品を作っていけば良いかということを管理します。まず特急品の対応により日程がずれた場合は、他の受注番号を後回しにしたり特急品を割り込ませるという日程の調整が必要です。

これを手作業で、カードやExcelで管理していると時間の修正等に追われてしまいます。

 

この修正を容易にするために、ITシステムの導入や進捗の見える化も有効です。

 

まとめ

今回は、進捗管理の話をしました。もちろん生産管理全体で考えなければいけないのは、品質、コスト、納期の最適化です。

この最適化を保つための一つの視点として、進捗管理を進めていただければと思います。

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ。

 

 

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