ログイン

【第17回】今回は品質管理の支援です

 2020.9.8 お役立ち情報 ブログ

今回は品質管理の話です。


品質管理の中でも、なぜITが品質管理に必要か、またどのようにすれば効率的に品質を記録することができるかを中心に書いていきます。

品質は「品物またサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価となる固有の性質や性能の全体」(JIS)と定義されています。


そして、その品質を管理するというのは「相手の要求に合った、品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系」(JIS)と定義されています。

これは、製品の生産者が決定するものはなく、使用目的を満たしているかどうかという顧客志向です。


「品質」と考えるとどうしても自社のやりかたや工場に任せるものという認識になりそうですが、あくまでもお客様の評価であること忘れてはいけません。顧客の要求から見た視点が大切です。


契約に署名している女性

品質管理の歴史


品質管理の歴史は、統計的品質管理から総合的品質管理に移りました。

統計的品質管理とは、データなどの客観的事実に基づいた管理方法です。戦後製造業から普及し、品質管理の基本的な考え方となりました。

総合的品質管理とは、製造やサービスを生み出している部門だけではありません。顧客の要求を満たすため、設計、製造、販売、アフターサービスまで含めた製品全体のライフサイクルの品質を管理します。


総合的品質管理は、従業員だけではなく、経営者を巻き込んだ、全員が参加する取り組みです。このため全社的品質管理とも呼ばれています。品質は顧客志向であるという考えから、現在では総合的品質管理が主流となっています。

総合的品質管理の観点からも、製品やサービスの品質を確保する上では、製品のライフサイクル全体を通して品質を保証しなければなりません。



パフォーマンスの低下を示す虫眼鏡

品質管理の分類

まずは、製品のライフサイクルを考える上で、消費者、開発者、製造者の視点で品質を分類してみます。


  • 要求品質

顧客消費者が要求する品質を要求品質と呼びます。これは営業やマーケティング部門で市場調査などによって情報収集を行い、マーケットに適合した品質かどうかという観点です。

製品のライフサイクルにおいては上流の企画や製品の検討段階において考える品質です。


  • 設計品質

設計品質は、自社内の技術や製造能力、コスト競争力や競合他社の品質から決定する目標値です。要求品質が、自社で製造する実際の製品の品質で適合するかという観点で確認します。

製品のライフサイクルにおいては、企画段階から設計段階で検討する品質です。


  • 製造品質

設計品質が上位の目標値であり、この目標値を達成する基準になっているかを確認する状況が製造品質です。

この製造品質を設計品質に近づけるために、品質を測定し改善していきます。



品質管理のPDCA

品質管理の目的は何かと言うと、

  • 顧客に対して要求を満たしているという証拠を出すこと
  • 問題が発生した時に辿って行くことができるトレーサビリティ
  • 自社の品質を高めていくためのデータ分析いやデータ品質の改善

という大きな目的があります。


これらの目的を達成するために品質を測定し、その状況を管理し改善して、更なる良い品質を目指します。つまり品質の PDCA を回すということをすすめるのです。



砂時計とカレンダー

品質のPDCAを回す手順を示します。

はじめに、検査する工程や検査する項目、管理目標値を決めます。そして、検査をし、不良品を見つけます。

検査結果から工程内不良件数や不良金額、納品前不良件数、納品後不良件数、などを算出していきます。不良件数などを 算出後、不良の原因を調べます。


不良品は、作った材料のムダや作業のムダを起こし、材料費や人件費のコスト増加につながります。不良が発生したら、製造現場で何が起こっているかの状況を把握します。

この状況把握は、「現場、現物、現実」と呼ばれる三現主義に基づいて自分で確認することが大切です。


問題が発生したときは、まず何よりもその現場で状況を確認することです。現場を離れて机上で考えているだけでは、決して問題解決にはなりません。

よく「現場は宝の山である」と言われます。現場には問題を解くためのカギとなる生の情報が隠されています。


また、現象を把握し、原因や真因を究明するためには、なぜを5 回繰り返す「なぜなぜ分析」が有効です。但し、なぜなぜ分析を行う前には「何のために」分析を実施するかという課題設定が明確でなければなりません。


分析する課題が間違っていれば、分析の結果も間違ってきます。そのため、なぜなぜ分析を実施する場合には、まず分析する課題を出して明確にします。



品質管理のIT

ここでは品質管理をする上で IT はどのように役立つかを示します。まず品質の品質を測定する時の正確性を高めることができます。

具体的な製品で言うと品質を測定する測定器です。


例えば長さを測定するのであれば、ノギスやメジャーそして三次元の形状を測定する三次元測定器などがあります。

さらにこの測定状況を記録するために、ノギスや三次元測定器などからデータを取り出し蓄積します。ここに役立つのがIT技術です。


これまでは、例えばノギスであれば、出来上がった部品や製品にノギスを当て、メモリを目視で読むことによって、何センチや何ミリという測定を行います。

そして測定した値を「この品質基準はお客様から求められた品質を満足した」という判断を人間が行い、品質を確定します。

ITを使った場合は、これらの作業を簡略化していきます。



例えば測定そのものであれば、ノギスを動かして目視で測定結果を捕まえるのではなく、デジタルノギスなどを使います。「測定をした時にボタンを押す」などの動作により測定結果をパソコンに蓄積できます。

また、測定結果に対する閾値を決めておき、閾値以外のときはアラートを出したり、メールなどで管理者に通知を行い、ITと複数の人によるダブルチェックができます。



巻き尺に沿って木片に鉛筆で印をつける大工

マウンテンゴリラでは、「カカナイ」を使ってこの測定記録の時間短縮を図っています。

具体的には、デジタルノギスを使います。部品の長さなどを測定した結果は、Bluetooth接続を使って接続したiPhoneやパソコンにデータを取り込みます。


取り込まれたデータを「カカナイ」のサイトに入力して自動的に入力します。これにより手作業で測定し、手作業で記録用紙に記入していた作業が短縮できます。

測定した結果がすぐに記録用紙である記録Webサイトに、入力されデータとして蓄積されます。


蓄積されたデータは、測定ミスを除けば正確にデータとして利用できます。人間が測定した場合は、測定記録の記入間違いの可能性があります。

しかしデジタルノギスと連動した場合は、記録の記入間違いはありません。また手入力をするわけではありませんので作業時間を短縮することができます。


さらに、測定値の読み取りは目視ではないので、測定誤差が生じません。このように転記ミスと時間を少なくすることで、品質精度を高めることができるのです。


もっと細かい測定結果が欲しい場合や、立体加工した加工後の製品の場合は、三次元測定機を使います。

これにより、あらかじめ読み込んでおいた図面の情報と付き合わせて、実際の出来上がった部品や製品の長さサイズなどを自動的に比較することができます。



ITを使って分析を行う


品質データの蓄積をすることでどのようなメリットがあるでしょうか。品質データの蓄積は、統計的な分析に繋がります。

例えば品質のばらつきが、標準より上ブレしているのか、下ブレしているのかと言うことを確認することが容易にできます。


また作業担当者や機械による品質の誤差を知ることができます。誤差を知り、分析することで担当者が未熟と判断でき、教育を施し、正確性を高めると言う改善につながります。

品質誤差の大きい機械が特定できれば、品質の低下を防ぐことができます。


また品質誤差の発生頻度を分析して、その機械の故障の予知や、機械の設定や設置のミスなどを見直すことができます。さらにはその機械の耐用年数や耐久が弱ってきていると言うことも把握できます。

このようにデータを取得するというのは、品質を維持し、改善活動を効果的に行うために必要です。


職人の経験や勘に頼るのではなくデータを収集し、分析し改善を実施していく統計的な考え方は品質改善の基本行動です。

製品の品質は常に一定ではなく、不適合な製品が発生するという認識を持ち、そのばらつきを少なくするということを意識していきましょう。

日々改善し、ばらつきを少なくすることで、不良品をなくし、品質を高める努力を進めなければなりません。



■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ


© 2020 Mountain Gorilla Co., Ltd. 

プライバシーポリシー

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。