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【第14回】今回はテレワークのための業務改善の話です

 2020.6.1 お役立ち情報 ブログ

 

前回は新型コロナウイルス対策として、テレワークの進め方などを書きました。

 

テレワークを進めるためには業務の切り分けが必要だということを書いたのですが、もう少し詳しく知りたいという要望がありましたので、今回はこのあたりを書いていきます。

 

総務省が発表しているテレワーク導入手順書(以下「導入手順書」)には、

「テレワークは、ICTを活用して、場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するものです。ワーク・ライフ・バランスの実現、多様な人材の社会参画、企業の生産性の向上等、様々な課題の解決へ向けた貢献が期待されています」

とあります。

 

私が以前勤務していた会社では、シンクライアント環境を構築し、外出先だけでなく自宅からでも会社の仮想デスクトップと言われるパソコンを使うことができました。仮想デスクトップは、物理的に頑丈でセキュリティ上も強固なサーバーの中に個別のパソコンの環境を作るものです。場所に依存せず、ネットワークが接続できればどこからでも自分のパソコンを使うことができます。どこでも作業ができるというのは、仕事を継続するには申し分ない環境でした。

 

今回のテレワークは「在宅勤務」が求められました

今求められているテレワーク

新型コロナウイルス対策で求められたテレワークは、会社の仕事を自宅で行う「在宅勤務」という形態でした。

 

在宅勤務を進めるあたっては

  • 就業規則の変更
  • 各実施者の労働時間制度を把握や人事評価制度の変更
  • テレワーク時の勤怠管理・業務管理の検討
  • 実施に関する申請・承認方法
  • セキュリティルール

情報・ファイルの取り扱いなど決めるべきことが多くあります。しかし、これまではあまり真剣に議論が行われていませんでした。

 

この新型コロナの影響で、上記のことを「決めずに、または暫定措置だけ取って」テレワークのシステム環境を整える必要がありました。

 

テレワークの準備が整っている大企業であれば、ノートパソコンを持ち出してできるでしょう。また、この持ち出し用ノートパソコンはセキュリティを高い状態で保った状態にしているでしょう。

 

今回のテレワーク対応は、準備ができている企業は良いのですが、そうではない中小企業や小規模企業にはどうしていいかわからないという言葉がよく聞かれました。

 

テレワーク環境を構築する方法はいくつかあります。

「導入手順書」によると代表的には

  • 会社PCの持ち帰り方式
  • リモートデスクトップ方式
  • 仮想デスクトップ方式
  • クラウド型アプリ方式

の4つがあります。

 

会社PCの持ち帰り方式

これは会社で使用しているパソコンを自宅に持ち帰り、主にVPN経由で業務を行います。VPNというのは、バーチャルプライベートネットワークの略称です。かんたんに説明すると自宅と会社が、あたかも一つの事務所でネットワークが構成されている状態にするものです。

会社PCの持ち帰り方式の場合は、パソコンに多くの業務データが格納された状態で社外へ持ち出すこととなるため、盗難や紛失による情報の漏えいのリスクがあります。このため、パソコンには十分なセキュリティ対策がなされたものを用意する必要があります。たとえばHDDの暗号化、外部メディア接続の制限、多重認証や生体認証等の複雑な認証要求などです。これらのパソコンを予め準備が必要です。

 

またこの方式はVPNサーバーを設置するため、時間と費用、またそのような専門性に高い人が必要です。おそらく中小企業や小規模企業であればネットワーク構築に詳しい業者に依頼をすることになります。

 

こうなると、見積り、打ち合わせ、構築というように時間がどんどん経過してしまいます。

出展:「テレワーク導入手順書」(総務省)

 

リモートデスクトップ方式

これらのことから、直近進められたテレワークの環境は、VPNを使わないクラウド型で提供されているリモートデスクトップサービスを使うという方法です。

 

例えば NTT の「シンテレワーク」や「TeamViewer」というソフトウェアを使う方法です。

 

この場合は、会社にあるパソコンを自宅から操作をするということですので、新たにソフトウェアをインストールすることや新たな操作覚える必要はありません。

 

私が住んでいる堺市ではテレワーク補助金が出ており(募集終了しました)、4月はすぐにでもテレワークを始める必要があったため、多くの企業がこの方式をとりました。

 

他に「仮想デスクトップ方式」や「クラウド型アプリ方式」などがありますが、いずれも導入するまでに時間がかかるため、今回は敬遠されました。

出展:「テレワーク導入手順書」(総務省)

 

業務の切り離し

テレワークを構築するときに一番考えなければいけないのは、どの業務を自宅で行うかということです。会社のパソコンでできる業務を自宅で行うということですが、「リモートデスクトップ方式」の場合は、会社のパソコンのディスプレイとマウスとキーボードを長く伸ばして自宅まで持ってきたような状態です。

 

基本的な考え方は、セキュリティを高めるためファイルやデータを自宅側のパソコンに置かないようにします。プリンターを使って印刷すると、会社のプリンターに印刷されます。

 

こう考えると、業務の中で受注伝票や、売上伝票や請求書、出荷伝票の印刷をどうするかを再検討する必要があります。

 

例えば、請求書は発行して郵送すればよいですが、専用の請求書はどうすればよいかの検討が必要です。また出荷伝票を発行する製造業であれば製品と情報が一緒に動くため、出荷伝票は製品につけて出荷してもらう必要があります。

 

こういうことを考えていくと、どのような業務をテレワークでできるのか、それは誰がやっているのかということを分解して考える必要があります。

 

しかし、会社でやっている業務を細かく分解してやっていこうとすると、なかなか思い出すことができません。

 

そこで必要になるのが業務を分析できるコンサルタントです。が、今回のこのような緊急事態ではすぐには探すことも対応することもできません。ですので社内でこれらの業務を分析する必要があります。

 

このコラムを書いているのは緊急事態宣言が解除された直後です。このタイミングで業務を見直して、どのような業務をテレワークで行うことができるか、どこでできるのか、誰ができるのかということを考えていく時だと思います。

公開されている情報を使う

業務分析を進める時に、一から考えていくのは大変です。そこで公的に公開されていて、参考になりそうなものを一つ提示します。

 

2020年6月時点で、「IT 導入補助金」の募集が行われています。この公募要領に業務プロセスが書かれています。(公募要領の「別紙2 業種業務プロセス一覧」です。)

参考情報サイト:https://www.it-hojo.jp/

 

これはまず、業種に関わらず共通の業務プロセスを洗い出しています。また農業、建設業、製造業、卸売業というようにそれぞれ特有の業務プロセスも洗い出しています。

このプロセス一覧は業務を分解するためというよりも、分解している業務にどのようなツールがあるかといったことを調べるためのものです。従って、あまり細かい業務に分解はされていません。

例えば製造業であれば、コスト計算のためには原価計算という業務や機能例があります。しかしこれを分解して個別原価計算なのか総合検査原価計算なのかといったことは書かれていません。ただ、自社の業務でどのようなプロセスがあるのか、といったことをまず発見するには最も簡単な資料だと思います。(補助金の要領の資料のため無料で公開されていますが、補助金公募の終了後、参照できなくなります)

 

これを使って少し具体的に考えていきます。

出展:IT導入補助金2020「別紙2 業種業務プロセス一覧」

 

この表を例に取ると業種共通プロセスという項目があります。ここには「顧客管理」や「決済」「債権管理」「調達」「供給」「在庫」「会計」「財務」「総務」「人事給与」などがあります。つまり、どのような業種でも共通して存在する業務が記されています。

 

業務を詳細に落とし込んでいくとそれぞれの企業特有のものがあると思います。しかし建設業、小売業、製造業にかかわらず、顧客対応や決済というのは必要です。ですので、この業務のうちどの程度分解するとよいか、どのように分解すればいいのかという判断の基準になります。

 

例えば「決済」や「債権債務」と言う管理の中には、発注や仕入管理と買掛と支払管理のプロセスに分かれています。このときそれぞれの業務には、発注担当者や買掛支払管理をする担当者がいます。小規模企業であれば発注や仕入管理また支払いの業務は同じ担当者がやっている場合があります。またこの時支払業務は会社のお金を管理するため事務所でしかできないと考えたとします。

 

そうなるとこの担当者は、支払業務をやっているからテレワークができないと考えてしまいがちです。しかし、担当者ごとに考えるのではなく、業務を分解することで、どの部分がテレワークでできるかということを考えることができます。

 

上記の例では「仕入」という業務は、社内の担当者と打ち合わせてどのような製品を発注すればよいのかということを決めるものです。打ち合わせでなく発注依頼者から「発注依頼書」を回付してもらえるならば、その場にいなくても発注の準備はできます。つまり、「発注依頼者」から「これを発注してほしい」という情報があればよいということです。

 

そして、「仕入(発注)」は、この情報を受け取り外注先や材料メーカーに発注します。

 

この場合であれば発注作業つまり仕入先や外注先に何かを依頼するという行為はメールや電話や FAX があれば出来ます。このことから、テレワークを行う場合はメールや電話や FAX があれば仕入先や外注先に依頼することができると考えられます。

 

そして発注した内容が商品や材料や部品が入ってきたか、つまり仕入れたかということを管理するというのが発注担当者の役割です。そしてこの仕入れた商品を発注依頼者に入荷したよということが情報としては出せれば良いのです。

 

こう考えると、発注依頼を受け、「発注をする」「入荷の情報を受け取る」「入荷情報を発注依頼者に教える」という情報のやり取りでだけであれば自宅でもできると考えられます。

 

もちろん、現物の材料が入荷されたかということを確認する業務が必要です。この確認業務があるのでできないと言うのではなく、この確認業務を「発注依頼者が行う」や「写真を取る」など物と情報のやり取りを考えるのも一案です。

 

もう一つの具体例として支払い業務を考えます。会社のお金を管理するため、事務所でしかできないと考えられる業務ですが、ネットバンキングを使えば自宅でもお金の入出金は可能なので、代金を支払うことはできます。もちろん社長の承認をどうするかという承認業務や、操作を慎重にしなければならないため、高いセキュリティを保つという観点が必要です。しかし、分解して考えるということが大切です。

 

このように業務をまとめて考えると「できないことが多い」のですが、分解すると「テレワークでもできる業務」が見えてきます。ぜひ一考いただければと思います。

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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