【第13回】今回はテレワークの話です
前回までのお役立ち情報は、業務改善を中心に書いてきました。
このコラムを書いている2020年5月は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。
特に企業内ではテレワークやインターネット会議が必須になってきています。これまでのお役立ち情報には部分的に書いてきましたが、今回はテレワークやインターネット会議を中心に書きます。
テレワークの方法は、大きく分けると、
- 社内で行っていた業務を遂行する
- 従業員同士の情報共有を行う
ということが求められています。
このため、
- 外部から社内のパソコンに接続する
- 社内の情報を共有する
- 離れていてもコミュニケーションを取れるようにする
という解決策が必要です。
外部から社内のパソコンに接続するには、「リモートアクセス」が有効です。
また、社内の情報を共有するには、「リモートアクセス」の他に「クラウドサービスの利用」という方法も取ることができます。
離れていてもコミュニケーションを取れるようにするには、ZoomやSkypeといった「Web会議システム」が活用されています。
このうちリモートアクセスの方法は技術的な要素が多いので、別の機会の示すことにします。
まずは情報共有です
まずは、情報共有のツールです。
ここでおすすめしたいのが、google 社の「Google ドキュメント」や、「Google スプレッドシート」といったサービスです。
「Google ドキュメント」はマイクロソフト社のWordのようなアプリケーションで、文章を書くための機能が揃っています。また、「Google スプレッドシート」はExcelのような表計算ができます。
「Google ドキュメント」や、「Google スプレッドシート」といったサービスは文書を作成するだけではなく複数の人が同時にファイルの編集ができることが魅力的です。
まず、ユーザーIDとパスワードを登録したGoogleアカウントを取得して、同時に編集する方法がとれます。この他、一時的な共有であれば、URLを伝えることでアカウントを取得せずに文書を共有することができます。
このような方法は、マイクロソフト社のOfficeでもできるようになりました。
マイクロソフト社の場合はOneDriveというクラウドサービスにファイルを保存して、複数の人がファイルを編集できます。
例えば、これまでのリアルな会議をイメージすると、従業員がそれぞれのパソコンを持ち寄り同じテーブルの上で同時に文書を見ながら編集します。
同じ文書を見ることができるので、プロジェクターに映す必要がなく情報の共有ができます。
これをそのまま場所が離れた自宅同士や、自宅と会社間で行うという考え方です。
この仕事の進め方は体験してみないと言葉では表しにくいのですが、一つのファイルを同時に書き込むというのは、リアルな作業でもなかった体験です。一度体感していただきたいです。
さて、これらは文章や数値など、キーボードで操作可能な表現です。
会議や打ち合わせの場では、書類を見ながら討議をする他に、アイデアを発散させるときや人とシステムなどの関係性を表す場合にホワイトボードに手書きで図や表を書き表すことがあります。
意見を言葉でまとめていくときは、Google ドキュメントやスプレッドシートなどで十分対応できます。しかし、ある程度発散したアイデアをまとめていく場合や、業務プロセスを示してシステム化を検討する場合などは、文字で書き表すよりも、絵や関係図で示すほうがわかりやすいでしょう。
特に、インターネットでオンライン会議などを行うときはホワイトボードを共有したいという気になります。
Web会議のツールでは、ホワイトボードを共有する機能が予め備わっています。Zoomの場合は「ホワイトボード」を共有すると、マウスやペンタブレットで線を描画することができるのでホワイトボードを使っているような感覚が得られます。
また、同時にホワイトボードを編集したいということであれば、Google Jamboardを使うと良いでしょう。Google Jamboardは、白紙の画面(ページ)にマウスやタッチパッドで手書きの絵を書くことができます。パソコンの画面でもタブレットでもスマートフォンでもできます。
つまり場所を問わず、ZoomやSkypeのようなWeb会議であっても同じホワイトボードを見ながら話ができるのです。
Web会議の注意点
IT業界の方は、テレワークの導入やWeb会議は、以前から取り組まれていました。私もIT業界にいましたので、以前からWeb会議はよく行っています。以下は私がWeb会議用を行う時の、注意点をまとめました。
<注意点1:できるだけ静かな環境で使う>
自分自身はそれほど気にはなりませんが、マイクを通して他に人に自分の周りの環境の音が聞こえると耳障りな場合があります。自宅の場合は、外の工事や車が通る音や子供の声などです。
部屋の換気も必要ですが、部屋の戸と窓を締めるなどをしてできるだけ静かな環境で使いましょう。ただし、ウイルス対策として、1時間に1回程度窓を開けて、空気循環を忘れないように。
特に、自宅で作業の場合、家族からの中断を伴います。時には良いことかもしれませんが、ドアが閉まっている場合、「仕事中」の状態を家族全員に知らせるのは良い方法です。仕事で多くのビデオ会議や電話が必要な場合は、このルールを家族に話しておきましょう。
<注意点2:マイクのミュートとミュート解除>
Web会議のツールを使い時には、マイクのミュート(他の人に音が伝わらない状態)とミュート解除を覚えてください。
原則会議の参加者は、言葉を発しない場合はマイクをミュートにしましょう。会議の参加者に、自分の独り言や飲み物を飲む音などは聞かせたくないものです。
ただし、全員がアイデアを発想するような「独り言」が大切な会議は、多少うるさくても全員がミュートを解除した状態で望みましょう。
<注意点3:カメラに向かって話す>
これは、「会議」の時はあまり気にする必要は有りません。しかし、セミナーや「相手に語りかけたい時」には、人が表示されいる画面を見るのではなく、カメラを見て話してください。
これは、相手の反応が見えにくくなり、意外と難しいのですが、「聞いている側」は目が合っている状態になります。
<注意点4:情報共有は画面の共有とクラウドサービスの活用>
これは、前述のGoogleやOneDriveを使った画面共有をおすすめします。
しかし、操作が面倒!という場合は、少し太めの濃い色のペンで紙に書いてカメラに写すという方法があります。
<注意点5:マイク・スピーカーは便利>
講師側が一人、受講者側が全員Web会議に接続というセミナー形式の場合はあまり気にする必要はありません。
しかし、会議のように「複数で集まっている」や「講師側が複数」で受講者側がWeb会議会議で接続しているときは、マイク付きのスピーカが便利です。
これは、Web会議が行われるようになって様々なメーカーから発売されています。
古くから有名なのは、「ヤマハ」や「Jabra」というメーカーから発売されています。
「マイク・スピーカー」や「Web会議 スピーカ」などで検索されると良いでしょう。
ポイントは、
- エコーキャンセリングやノイズキャンセリング機能があるか
便利なのは
- ミュートボタンがあるか
- Bluetoothで接続できるか
です。
「エコーキャンセリング機能」は複数で集まっている時に、「キーン」という音を防止します。
「Bluetoothで接続」は、スマートフォンやタブレットで接続する機会が増えているので手軽に接続する時に有効です。
注意点をいくつか書きましたが、いずれも、リアルな会議と大きくは変わりませんが、
「相手が見えない場合がある」
「相手に聞こえない場合がある」
「相手に伝えたい情報が伝えにくい場合がある」
というのを意識して使っていただくと効果的です。
Web会議を面談に使う
新型コロナウイルスの影響で人と接触する機会を削減する必要があります。
企業では、テレワークを進めることで接触機会を減らすことができつつあります。
ここで少し困るのが営業活動です。
製造業を中心に、営業活動には面談の機会を増やさなければなりません。
接触機会を減らしながら面談の機会を増やすために、リアルでなくバーチャルで面談機会を増やしましょう。
まずは、メールやFAX、電話など以前から行われてるツールの他にSNSやブログを強化してください。
そして、「ではお会いしてもう少し細かく説明しましょう」という段階になって、Web会議システムを使いましょう。
特にお客様がテレワークで出勤していなかったり、企業への訪問ができない場合はさらに有効です。
お客様に対して、「Web 会議をしませんか」などの声をかけて営業活動を進めましょう。
ポイントは、
- カメラで顔を見せること
- 資料を共有して相手に説明すること
です。
資料を共有しながらお客様へ説明するのは少し練習をして臨みましょう。
特に製造業であれば、新たに資料を作らなくても「図面を使って説明する」ことができます。
ただし、画面の切り替えや資料の準備など思っている以上に時間を必要とします。少し準備をしておきましょう。
Zoomの場合は会議の録画ができるので一度、自分の音声が相手にどのように聞こえているかの
確認はしておきましょう。
■執筆者
山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp
株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ
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