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【第11回】今回は在庫の事例です

 2020.3.13 お役立ち情報 ブログ

 

今回は製造業の在庫管理です。

 

在庫管理は製造業だけに絞って考えても様々な問題点が挙げられます。

 

在庫は数量の管理です。製品や部品の仕入れや入庫が発生すると数量を足し、売上や出庫が発生すると数量を引くという行為を行います。

 

このとき、「現物と情報を一致させる」ことが大切です。つまり現物が「1」増加したら情報も「1」増加させる必要があります。これが何らかの影響でできないため、在庫が合わなくなってきます。

 

ここからは少し事例を交えながら、在庫を管理するためには、どのように運用を変えるかという点と、どのようにシステム化していくかという2点に絞って書いていきます。

 

部品を持ち出すときの注意点

まずA社の事例です。

 

A社は、機械部品の加工と組み立てを行う企業です。

 

心臓部にあたる部品は自社で作り、周辺部品は協力会社で製造します。周辺部品は、ベルトやプラスチックのカバー、取っ手などで、共通化を行いある程度の数量が社内に在庫として置かれています。

 

在庫管理の方法は、部品を持ち出す時に出荷伝票を作成し、1日の最後にまとめて業務担当者が伝票に基づいて在庫管理システムに入力をしていました。

 

まとめて入力を行うため、翌日にしか在庫数量はわかりません。また、他の業務を優先して入力が遅れてしまい、システム上の在庫数量が現実の在庫数量と一致しないということがありました。

 

また、繁忙期には「出荷伝票を作成する」時間が惜しいため、作業担当者が勝手に持ち出したり、「システム上の在庫数量は現実の在庫数量と一致しない」という意識から、出荷伝票の重要さを認識せず、出荷伝票を書き忘れることがありました。これによりますます、「システム上の在庫数量が現実の在庫数量と一致しない」という状況になっていました。

 

さらに意識の低さは、「製造業は時間管理が大切だ」と教えられてきたことにも起因します。現場の作業担当者は、製品を作ることが大切で伝票を作成することはそれほど大切という意識になっていないためでした。

 

この場合直接的な問題は作業担当者が「出荷伝票」という「持ち出した」という書類を書かないことです。作業担当者が書かない理由として、「書く時間が惜しい」ということをよく言われますが、多くの場合は「面倒」だということが多いようです。

出荷伝票の例 (出典:https://www.kaunet.com/)

 

持ち出す時に、「何を、何個」ということを書く必要があり、またその書いた紙を所定の場所に置く必要があるからです。

 

「製造業は時間管理が大切だ」ということを念頭に置いてしまい、「直接作業」以外「間接作業」なので時間の無駄だという心理が働くようです。

 

この場合は、まず出荷伝票を書くという教育を徹底する必要があります。

書かなければ黙って持ち出したことになり、持ち出し証拠が残らないため、誰の責任で何個持ち出したかということがわからなくなります。極端なことを言えば、「横領になる」ということまで話をして、「書く」という行動を徹底しなければなりません

 

次に考えるべきことは出荷伝票の書き方です。

出荷伝票を書くのが面倒と考えるため、できるだけ簡単に書けるような工夫が必要です。

例えば、あらかじめ部品の名前を書いておき、数量だけを記入するだけで良いという方法です。

 

これは、業務上の工夫ですが、すぐにシステムを考えるのではなく、工夫してできることはないかと考えることが重要です。

 

そして、このような工夫がシステムで解消できないかと考えていきます。例えば、部品を持ち出した時に「何を何個」持ち出したかということを記録するようなシステムを作ること考えます。

ITシステムですと、部品名(何を)という項目と何個という項目を用意しておいて、部品名の項目はプルダウンで選択できるようにします。部品名は指一本で選択し、個数も指一本で数字を入力できるようにします。つまり、何かを書くという手間よりもボタン押すような操作だけになるので手間がかからないようなイメージです。

 

もちろん、部品名は多いのであれば、「検索する」という方法も可能ですが、この場合でも検索するための文字の入力をできるだけ少なくする工夫が大切です。

 

部品名を簡単に入力させるためには、保管している棚や部品にバーコードをつけておき、バーコードリーダーで読むことによって、「何を」を特定するということもできます。

 

スーパーマーケットのレジを通すようなイメージで何曜何個持ち出したかという記録のしかたもあります。

 

このようなシステムになってくれば、「何を何個」持ち出したかということを自動的に入力させるようにすることを検討していきます。例えば持ち出した時に、重さを感知するセンサーで、重量から個数を特定します。

 

つまり自動的、または半自動的に、何を何個持ち出したかということを簡単に記録することができます。

 

倉庫にある商品を持ち出す時に、必ず書いていた出荷伝票を自動的に書くシステムができるのです。 

 

重要なポイントは、部品を持ち出すときは、何を何個持ち出したかということを記録するということです。それをITシステムでやるのか、教育でやるということが大切です。またこれらを補うのがITシステムです。

 

棚札(在庫台帳)を記録するときの注意点

 

次にB社の事例です。

 

B社もA社に近く、外注で作成した部品を集めて、完成品の組み立てを行う企業です。少量ですがロット生産のため、部品を在庫しています。

 

部品は部品棚に、それぞれを箱やかごに入れてひとまとめにしています。

それぞれの部品棚の箱には、棚札(在庫管理表)を入れており、部品が入荷されたら、入荷数量を記入し、持ち出したら持ち出し数量を記入します。

持ち出したときに、書かれている在庫数から持ち出し数量を引いて、現在庫数量を記入しています。

棚札(在庫台帳)の例

 

この棚札には、その部品の発注点と発注数量も書かれています。発注点とは、それ以下になったときに、発注する数量のことです。また何個発注するか迷わないように、発注数量が書かれています。

例えば、「発注点30、発注数量20」と書かれていれば、現在庫数量が30以下になったら、20個発注する。ということです。

このやり方の良いところは、パートや在庫を管理しない従業員であっても、部品がなくなったと見ると、発注担当者にその札を渡して、札に書かれている発注数量を発注すればよいということです。「あまり考えずに」簡単に在庫の管理と発注ができているので、受注量が多くて、使いすぎなければ、在庫をある一定の量で保持することができます。また、足りなくなったら決められた量を発注するので発注しすぎるということがありません。

 

ただし、この発注点と発注量は定期的に見直す必要があります

B社は、長年この発注点と発注量を見直していないため、在庫不足が頻回に発生したり、長期間滞留しているものがありました。

 

これらの運用を変えていくために、発注点と発注量を見直す頻度を決める必要があります。例えば、「半年に1回、棚卸しのタイミングで発注点と発注量を見直す」という取り決めを行います。

 

しかし、どの程度発注頻度が有るのか、発注した数量が想定されたリードタイムで入荷されているのか、滞留は長いのかといったことを分析して、見直さなければなりません。

 

このためにも、データを蓄積する必要があります。データは、発注日と発注量、入荷日と入荷数量を最低限蓄積します。

簡単に分析する方法としては、入荷日と発注日をみて、何日間の間が有るかを測定します。発注して入荷するまでのリードタイムを考慮する必要がありますが、原則、入荷日から発注日までは同じ日数にするべきです。これは、部品の金額にもよりますが、原則同じ日数だけ在庫するという考え方です。多くの在庫を持つと安心ですが、その分支払金額が大きくなり、在庫金額が大きくなります。在庫は、お金に変わっていない品物なので、在庫金額分だけ現金が少なくなります。

現金の減少は、支払いの現金につながるため、支払い現金を増やすために銀行から借り入れることになり、利息が発生します。つまりすぐにいらない部品を買うことで、手元の現金が減るだけでなく、利息の支払いが発生するのです。

 

ピックアップするときの注意点

3つめの事例のC社も組み立てが中心の製造業です。この形態は在庫管理に悩む企業が多いです。B社同様外注で作成した部品を集めて、完成品を組み立てます。

 

C社は多くの部品を在庫しています。

部品の発注は完成品の受注後に発注していきます。受注は、都度生産する受注生産型の製品とカタログ品のような標準的な製品の2種類があります。そしてそれぞれの製品に対して部品が異なります。

受注生産型の製品は、受注の都度部品を確定して発注します。その時使用する多くの部品が在庫されていないため、部品が存在するか倉庫に確認しに行きます。

 

一方カタログ品と呼ばれる標準的な製品の場合は、部品の発注前に倉庫に確認せず、コンピューター上にある在庫を信用して発注します。

 

しかし、最近コンピューター上の在庫と実在庫が一致しないことが多くなってきました。このため、毎月棚卸をして数量の再セットを行っています。

 

なぜコンピューター上の理論在庫と実在庫が一致しないかを分析しました。C社の部品は、製品に対して部品の展開するマスターが作成されています。このマスターから展開された発注部品に対して発注書を作成し各外注先に注文します。部品は外注先から自社倉庫に入荷され、社内のシステムに入荷された数量を入力します。

部品展開マスターの例

 

この後製品を組み立てていくときに、生産マニュアルに従って倉庫から部品をピックアップし、組み立てていきます。ここまでは良かったのですが、標準品といえども製品は改良されていきます。毎年改良されていくと使用する部品が変更されます。部品が変更されたときにマニュアルに手書きで部品が変更されたことを記載していました。例えば、Aという製品のBという部品がCに変わったという記載です。

マニュアルに手書きでも良いので記載するというところまでは良かったのです。しかしコンピューター上の部品展開マスター対して、メンテナンスは行われていませんでした。このため不必要な在庫が増えたり、逆に在庫されていない部品が存在していました。

 

この対応は、まずマニュアルを修正した場合、マスターの修正も必ず行うというルールを決めて運用する必要があります。コンピュータの在庫を信頼するのであれば、生産マニュアルは組み立てる手順だけを記載し、部品のピックアップはコンピューターから出力された部品展開表に従ってピックアップするようにします。

 

在庫管理は運用が大切

組立を中心とする製造業の場合、在庫管理はシステムを導入して正しく運用できれば、コンピュータ上の理論在庫の精度が高まります。うまく運用できれば現物の在庫数を見ることなく、コンピュータの在庫数量を信頼できます。しかし、人の運用のルーズさや、イレギュラーな対応が発生するため、正しく運用できなくなり、精度が低くなってしまいます。そうなるとシステムの信頼性が低くなり、更にルーズな運用になってしまいます。

これを脱却するために、正確な運用を心がけてください。

 

■執筆者

山口 透 (やまぐち とおる) http://mt-brain.jp

株式会社 エムティブレイン 代表取締役。「経営とIT」のコンサルタント。業務改革や改善の指導やIT戦略企画立案の支援を行うコンサルタント。現在、IoTやAIを中心に経営とITの橋渡しをする社外CIOサービスを提供中。中小企業診断士、システムアナリスト、ITコーディネータ

 

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